第69回 過去に鍵が
~自宅・夕食中~
ガッシャン!!
ミサキ
あ・・・。
ミドリさん
あーあ!もう!!
ミドリさん
なにやってんのよ、バカ!!
ミサキ
片付ける・・
ミドリさん
触らないで。私がやるから。
ミサキ
・・・。ゴメンナサイ。
ガチャガチャ!(無視して片付けるミドリさん)
ミドリさん
・・・・。全く!
ミドリさん
・・・。
ミドリさん
・・・。しまった。
ミサキ
グスッ!
ミドリさん
あぁ、泣いてる。
ミドリさん
やってしまったか・・・。
~翌朝~
ユイ
おはよー。
ミドリさん
おはよー。
ユイ
お母さん。今日学校休みたい・・
ミドリさん
え?なんで?
ユイ
お腹痛いの。
ミドリさん
・・・。
ミドリさん
ホントかな。単に休みたいだけじゃ・・・。
ミドリさん
ヒドくなったら保健室行きなさい。
ユイ
・・え!?
ミドリさん
私、もう仕事行くからね。
ユイ
分かった。
ユイ
行けばいいんだね。
~その日の夕方~
ミドリさん
ただいまー。
ミサキ
・・・。
ユイ
・・・。
ミドリさん
返事がない。
ミドリさん
晩ご飯にするね。
ミサキ
・・・。
ユイ
・・・。
ミドリさん
この重い空気は・・。
ミドリさん
そうか。またやっちゃたんだ。
~その日の深夜~
アゲアゲくん
何をやっているのですか。
ミドリさん
別に。スマホ見てるだけ。
アゲアゲくん
・・。暗いな。
アゲアゲくん
スマホで何を見ているのですか?ドリフとか?
ミドリさん
・・・。
アゲアゲくん
・・。無視か。
アゲアゲくん
お茶入れましょうね。
ミドリさん
いらない。
アゲアゲくん
・・・。ガビーン。
ミドリさん
・・・はぁ。
アゲアゲくん
・・・。
アゲアゲくん
ミドリさん。
アゲアゲくん
気にさわったらゴメンナサイ。
ミドリさん
・・・。
アゲアゲくん
今から言うことはね。
アゲアゲくん
全部独り言。
ミドリさん
・・・。
アゲアゲくん
こっちの世界に来て数ヶ月。
アゲアゲくん
「ミドリさんの側にいるのは僕でいいんだろうか」
アゲアゲくん
そう思うことがあります。
ミドリさん
・・!?
アゲアゲくん
誰が悪いとかじゃなくてね。
アゲアゲくん
僕より優秀なアゲ者だっているでしょう。
アゲアゲくん
僕は果たしてミドリさんの側にいていいのか。
アゲアゲくん
考えたらね。悲観してしまいます。
ミドリさん
なんで側にいてくれるの?
アゲアゲくん
僕がいたいからですよ。
ミドリさん
・・・。
ミドリさん
私ね・・。
ミドリさん
「自分はなんて冷たい人間なんだろう」
ミドリさん
「母になってよかったのか?」
ミドリさん
そう思うんだ。
アゲアゲくん
僕と似てますね。
ミドリさん
・・・。違うよ。
ミドリさん
ミサキがね。食器を割ったんだよ。
ミドリさん
不注意で割っただけだよ。
ミドリさん
少し考えたら分かるのに。
ミドリさん
怒っちゃうんだなぁ、私。
アゲアゲくん
・・・。
ミドリさん
今朝、ユイがお腹痛いって。
ミドリさん
私、なんて言ったと思う?
ミドリさん
「ヒドくなったら保健室行けばいい」
ミドリさん
違うよね。心配するトコだよね。
ミドリさん
優しい言葉がね。出ないんだよ・・・。
アゲアゲくん
・・・。
アゲアゲくん
優しい人ってどういう人だと思いますか?
ミドリさん
怒らない人?
アゲアゲくん
いえいえ。
アゲアゲくん
優しくあろうとする人ですよ。
ミドリさん
・・・。
アゲアゲくん
・・・。
アゲアゲくん
ミドリさんは優しい人ですよ。
ミドリさん
・・・。
アゲアゲくん
さて!
アゲアゲくん
以上!僕の独り言でした!
アゲアゲくん
付き合わせちゃいましたね!
アゲアゲくん
もう夜も遅いですから!
アゲアゲくん
寝ますか?
アゲアゲくん
それとも独り言をもうちょっと聞きますか?
ミドリさん
寝るよ。
アゲアゲくん
では僕も寝ましょう。
アゲアゲくん
オヤスミナサイ。
ミドリさん
お休み。
~翌朝~
アゲアゲくん
おはよーございます。
ミドリさん
おはよー。
アゲアゲくん
お気持ちどうですか。
ミドリさん
ちょっと良くなった。
アゲアゲくん
そうですか。
ミドリさん
ねぇ。
ミドリさん
昨日の話の続きしていい?
アゲアゲくん
はい。今が最適かと。
ミドリさん
なんで優しく出来ないのかな。
アゲアゲくん
どんなときそう思うのですか。
ミドリさん
つい責めちゃうとき。
アゲアゲくん
なぜ責めてしまうのでしょう。
ミドリさん
「罰を与えなきゃ」って思うの。
アゲアゲくん
罰を・・・。
ミドリさん
終わったあとでね。
ミドリさん
「なんか違うんじゃないか」って思う。
ミドリさん
それで本とか読んでね。
ミドリさん
「やっぱり私って変なんだ」って思うの。
アゲアゲくん
落ちこみませんか。
ミドリさん
落ちこむよ。すごく。
ミドリさん
自己嫌悪の大嵐だね。
アゲアゲくん
・・・。
アゲアゲくん
自分で自分を罰してはいないでしょうか?
ミドリさん
え!?
アゲアゲくん
そう感じたのですが・・。
アゲアゲくん
どうでしょう?
ミドリさん
自分を罰している・・・。
ミドリさん
懺悔をしているのかな、私。
アゲアゲくん
子どものころは?
ミドリさん
子どものころ?
アゲアゲくん
悪さや失敗したらどう怒られてましたか?
ミドリさん
うーん。どうだったかな・・・。
アゲアゲくん
思い出せない?
ミドリさん
ヒドく怒られたんだよ。
ミドリさん
でも具体的には出てこないなぁ。
アゲアゲくん
あぁ・・。
アゲアゲくん
なんとかなると思います。
アゲアゲくん
希望は大きくありますよ。
ミドリさん
??
アゲアゲくん
昔のことって忘れますよね。
ミドリさん
そうだね。
アゲアゲくん
忘れていた過去を思い出すことでね。
アゲアゲくん
大きく変わる。
アゲアゲくん
そんなことがあるのですよ。
ミドリさん
そうなんだ・・・。
ミドリさん
「私にはまだ伸びしろがある」
ミドリさん
そう思っていいのかな?
アゲアゲくん
いいですよ。
飛躍的な成長
思い出せない過去を思い出す。
これが出来ると大きく飛躍できます。
思い出す方法は誰かに話すことが最適です。
相手が心許せる人、何でも話せる相手だと成功率は高まります。
「優しくしたいのに出来ない」
これは誰にでも起こりえます。
解決策もまたありますから。