第55回 正しさはシャボン玉

冬休み・ミドリさん宅

ミドリさん
おはよー。
ケイイチ
・・・。
ミドリさん
今日は寒いねー。
ケイイチ
・・・。
ミドリさん
・・・。気まずい。
ミドリさん
ケーイチは今日も不機嫌か。
ミドリさん
冬休み長いなぁ。
ミドリさん
早く学校行けばいいのに・・・。
ミドリさん
・・・は!?
ミドリさん
なんてヒドいことを考えてるのー!?サイテーだー!
アゲアゲくん
サイコーだぁー!
ミドリさん
ガクっ!
アゲアゲくん
サイコーですよ!ミドリさん!
ミドリさん
何が!?
アゲアゲくん
ローソンから新発売!
アゲアゲくん
からあげクンまんが出るんですってー!!※本当です
ミドリさん
どうでもいいわー!
アゲアゲくん
レッドもあるよー。
ミドリさん
CMしないの!
アゲアゲくん
ノーギャラだからいいじゃないですか。ビックリしたの!
ケイイチ
はー。

バタン!ケーイチ部屋に帰る

ミドリさん
部屋帰っちゃった。
アゲアゲくん
ダメか・・・。
ミドリさん
最近、ギクシャクしちゃって。
アゲアゲくん
気まずいですか?
ミドリさん
休みなのが却って苦しいなぁ。
ミドリさん
「早く学校行けばいいのに」
ミドリさん
さっきそう思ってしまった・・・。
アゲアゲくん
・・・。
アゲアゲくん
「私がなんとかしなければ」と思っていますか。
ミドリさん
うん。
アゲアゲくん
気負わないことですよ。
アゲアゲくん
荷物を降ろしましょう。
ミドリさん
荷物?
アゲアゲくん
今まで色んな荷物を背負ってきたんじゃないですか?
アゲアゲくん
子どものときは「良い子」という荷物。
アゲアゲくん
大人になってからは「良い人」という荷物。
アゲアゲくん
今は「良き母であろう」という荷物。
ミドリさん
・・・。あー背負ってるね。
ミドリさん
子どものころね。父さんに脅されたことがあって。
ミドリさん
「この人に逆らっちゃいけない」と思ったことある。
ミドリさん
あの頃からかな。周りに合わせるようになったのは。
ミドリさん
それで関係うまくいったからね。
ミドリさん
「これでいい」と思ったよ。
アゲアゲくん
・・・。
アゲアゲくん
周りから求められている理想。
アゲアゲくん
ずっと背負ってきたのですね。
ミドリさん
そうだね。
アゲアゲくん
下ろしていいのですよ。
アゲアゲくん
いつまでも持っている必要はない!
アゲアゲくん
連鎖的にケーイチ君との仲も良くなるでしょう。
ミドリさん
私は気負い過ぎてるからダメなのかな??
アゲアゲくん
そういうことです。
アゲアゲくん
大事なのはね。やっぱりマインドです。
ミドリさん
そうなるのね。
アゲアゲくん
はい。サゲ親(毒親)ほど「戦いマインド」を持っています。
アゲアゲくん
親子は「戦う相手」ではないのです。
ミドリさん
そうだね。
アゲアゲくん
ほら、サゲサゲくんいるじゃないですか。
ミドリさん
あぁ、初登場以来まったく出番のないあのコね。
アゲアゲくん
僕のライバルなのにね。
アゲアゲくん
サゲサゲくんは悪じゃないのです。
ミドリさん
そうなんだ。
アゲアゲくん
サゲサゲくんはただ今、公園のベンチで佇む昼行灯状態ですが。
ミドリさん
リストラされたサラリーマンみたいね。
アゲアゲくん
彼も今の世を嘆いているのですよ。
アゲアゲくん
「サゲ親学がちゃんと伝わっていない」そう悩んでいます。
ミドリさん
サゲサゲくんも辛いんだね。
アゲアゲくん
彼も平和を望んでますからね。
アゲアゲくん
競争は世の中にあります。
アゲアゲくん
でも親子は競争じゃない。
アゲアゲくん
「戦いマインドから抜けることが大事」と心得てください。
ミドリさん
戦いを放棄すればいいの?
アゲアゲくん
そうですね。自然と調和に向かっていきます。
ミドリさん
調和がいいなー!
アゲアゲくん
うん、そう思っていますよね。
ミドリさん
なんで私は「戦い」になっちゃうんだろう。
アゲアゲくん
そうですね・・。
アゲアゲくん
例えば母になってから。
アゲアゲくん
「母親のアナタが頑張らなくてどうするの!?」
アゲアゲくん
「子どもになめられたらダメよ!」
アゲアゲくん
そんなプレッシャーかけられたことないですか?
ミドリさん
ある!母さんに言われた!
アゲアゲくん
それがもう「戦い」です。
ミドリさん
あぁ・・。
ミドリさん
私は今も躾けられているのかな。
アゲアゲくん
・・・。
アゲアゲくん
いやいや。だからこそ。
アゲアゲくん
もう受け身にならなくて良いのです。
ミドリさん
そっか。
アゲアゲくん
安心してください。ちゃんと前に進んでいますからね。
アゲアゲくん
ここで問題です。
ミドリさん
アゲアゲくん
バナナの皮が道に落ちています。
アゲアゲくん
踏んだらどうなりますか?
ミドリさん
滑って転ぶ。
アゲアゲくん
正解。
アゲアゲくん
今度は落ちているバナナの皮に気づけました!
アゲアゲくん
踏みますか?
ミドリさん
 踏まないね。
アゲアゲくん
そう踏まない。
アゲアゲくん
戦いマインドはバナナの皮です。
アゲアゲくん
ただ気づきにくい。
ミドリさん
見えないバナナの皮なんだね。
アゲアゲくん
見えない皮に困っていたのが今までのミドリさん。
ミドリさん
うん。真っ暗だったもん。
アゲアゲくん
僕の話を聞くうちにね。
アゲアゲくん
「あ!戦いマインドだ」と気づくことが出来ます!
ミドリさん
戦いマインドにいる自分に気づけるのか。
アゲアゲくん
はい。
アゲアゲくん
今までの失敗。
アゲアゲくん
こうやって学んでいること。
アゲアゲくん
無駄じゃないですからね。
アゲアゲくん
次第に上手になっていきます!
ミドリさん
・・。
ミドリさん
「母親」も練習次第だよね。
アゲアゲくん
そう!その通り!
ミドリさん
・・・。私は成長途中なのか。
アゲアゲくん
そうそう。
アゲアゲくん
「この子との関係をなんとかしたい!」
アゲアゲくん
そう踏ん張るご自分を誇ってくださいね。
アゲアゲくん
向上心あるから落ちこむのです。
アゲアゲくん
それって素晴らしい。
ミドリさん
誇っていいのかなー??自信ないんだ!
アゲアゲくん
僕はミドリさんが輝いてみえますよ。
ミドリさん
毎日落ちこんでばかりだよ。
アゲアゲくん
アゲ者は人の心が見えるのです。
アゲアゲくん
ミドリさんの心は凍ってない。
アゲアゲくん
暖かな色をしておりますよ。
ミドリさん
「ケーイチ早く学校行けばいいのに」と思った私でも?
アゲアゲくん
はい。そういうものなのです。
アゲアゲくん
コーヒーブレイクしましょう。
アゲアゲくん
今日はコーヒーとマフィンです。
ミドリさん
ありがとう。
ミドリさん
ずず・・
ミドリさん
ふぅ。
ミドリさん
お正月に帰省するんだけど。
アゲアゲくん
はい。
ミドリさん
ケーイチ連れて行かなきゃいけないかな?
アゲアゲくん
「行かせないと」と思ってませんか?
ミドリさん
うん。毎年連れてってるからね。
アゲアゲくん
「絶対連れて帰らないと!」
アゲアゲくん
そう思うと「戦い」になっちゃいますよ。
ミドリさん
あぁ!バナナの皮だ!
アゲアゲくん
必ず帰省しなければならない。
アゲアゲくん
そんなのないんです。シャボン玉。
アゲアゲくん
ミドリさんは連れて行きたくない。
アゲアゲくん
ケーイチ君も行きたくないでしょう。
ミドリさん
そうだね。
アゲアゲくん
なら連れて行かなくていいんですよ。
ミドリさん
それでいいのか。
アゲアゲくん
はい。
ミドリさん
母さんに何て言おう?
アゲアゲくん
ウソつきましょう。
ミドリさん
それが一番か。
アゲアゲくん
戦いを避けるために、ウソをつく。
アゲアゲくん
これ悪いことじゃないです。
ミドリさん
そうか。
ミドリさん
アゲアゲくんと話しているとね。
ミドリさん
「私は自由なんだ」って思えてくるよ。
アゲアゲくん
おぉ!
アゲアゲくん
それは何よりの褒め言葉です。

 

正しいはシャボン玉

「これをしなければならない」

相手に対してそう思うと戦いが生まれます。

 

丁度今は年末年始ですが「帰省しなければ」と背負う必要もない。

全然帰省しない人だっているわけです。

 

正しさにとらわれると戦いが起ります。

正しさはシャボン玉であり、蜃気楼。

 

居心地良い空気は作れますから。

良いお正月をお迎えください。