第41回 優しい子どもとは?

ミドリさん宅・食事中

ミサキ
でね。テツヤ君ってバカなんだよー。
ミドリさん
コラ!そんなこと言っちゃダメ!
ミサキ
えー?
ミドリさん
いい?友達には優しくするんだよ?
ミサキ
うん・・・。
ミドリさん
ミサキ、口が悪いんだよなぁ。
ミドリさん
ねぇ?アゲアゲくん。
アゲアゲくん
C’mon Baby♪アゲアゲ!
ミドリさん
アゲアゲくんってば!
アゲアゲくん
はい?
ミドリさん
教えてほしいことがあって。
アゲアゲくん
なんでしょう?
ミドリさん
優しい子の特徴ってどんなのかな?
アゲアゲくん
「嬉しいから優しくしてる子」ですね。
ミドリさん
嬉しいから?
アゲアゲくん
優しくすることに喜びがある。人って嬉しい。そう思えている子。
アゲアゲくん
「優しくすればいいことがある」って分かってるんです!
ミドリさん
なんか夢のない表現だね。
アゲアゲくん
そうですか?
ミドリさん
見返り求めてるっぽくない?
アゲアゲくん
その見返りは精神的なものですよ!お金とかじゃなく・・・。
ミドリさん
そっか。「ありがとう」だけで嬉しい、みたいな?
アゲアゲくん
そうです!
アゲアゲくん
「ありがとう」だけで報われる。幸せな姿を見るだけで嬉しい♪
アゲアゲくん
見返りがダメなんじゃなくて、何を見返りとしているか、です!
ミドリさん
なるほどねぇ。
ミドリさん
優しさに喜びあることを知っている子か。
アゲアゲくん
そうです!理想的ですよね。
ミドリさん
ミサキもそうなってほしいなぁ。
アゲアゲくん
ミサキちゃんがどうかしましたか?
ミドリさん
なんかね。友達の悪口言うんだよ。
アゲアゲくん
ふむふむ。
ミドリさん
優しい子に育ってほしいんだけど、どうすればいいのかな。
アゲアゲくん
どうすればいいと思っているんですか?
ミドリさん
「優しくしなきゃダメだよ」って言ったり、褒めてるよ。
アゲアゲくん
あぁ・・。やめておいた方がいいかな、と。
ミドリさん
えー!?なんでさ??
アゲアゲくん
優しい子になる方法は、優しいお母さんになる方法と同じですよ。
ミドリさん
えーと、優しいお母さんになる方法ってなんだっけ?
アゲアゲくん
エナジーです。
ミドリさん
エナジー?
アゲアゲくん
はい。人はね、スマホと同じです。
アゲアゲくん
スマホは電池で動いていますが、人はエナジーで動いています。
ミドリさん
気力や元気ってこと?
アゲアゲくん
そうです。メンタルのエナジーですよ。
アゲアゲくん
スマホが満タンだとなんでもサクサク動くでしょ?
ミドリさん
うん。
アゲアゲくん
低いと何にも出来ないでしょ?

ミドリさん
そだね。
アゲアゲくん
優しい子どもはエナジーが最大「3」なのですよ。
ミドリさん
「3」になってたら「優しくしたい」って思えるの?
アゲアゲくん
はい。優しくすることを喜べるんですね。
アゲアゲくん
お腹いっぱいのときは食べ物渡せるじゃないですか。
ミドリさん
そだね。
アゲアゲくん
相手が喜んでくれたら嬉しいじゃないですか。
ミドリさん
うんうん。
アゲアゲくん
それと一緒。
アゲアゲくん
優しさも最大「3」のとき分け与えて喜べるもの。
アゲアゲくん
自分が「1」「0」のときに分け与えちゃいけない。
ミドリさん
そうか。お腹ペコペコだったら、食べ物分け与えるのは苦痛だもんね。
アゲアゲくん
それが人の・・というか生き物として当然ですよ。
ミドリさん
当たり前の話だね。
アゲアゲくん
ただエナジーは見えません。
アゲアゲくん
人によっては「誰にでも優しく」とか言っちゃう。
ミドリさん
確かに。
アゲアゲくん
学校なんかは、とくにそう。
ミドリさん
うーん。そうだね。「みんなに優しく」だもんね。
アゲアゲくん
それが罠。
ミドリさん
「罠」か。
アゲアゲくん
優しさは使い分けることが大切ですからね。
ミドリさん
うーむ。いつでも優しくは不可能だよね。
ミドリさん
ミサキはエナジーが減っているのかな?
アゲアゲくん
うーん、ご飯時に悪口いっただけでしょ?
ミドリさん
うん。
アゲアゲくん
それはスルーしていいですよ。
ミドリさん
そうなんだ。
アゲアゲくん
ミサキちゃんが友達に直接悪口いったら、エナジー不足です。
ミドリさん
そのときは注意だね。
アゲアゲくん
そうですね。
アゲアゲくん
悪口をいっちゃいけない。優しくせねばならない。
アゲアゲくん
半分間違っているんです。
ミドリさん
えぇ!?
アゲアゲくん
ホントですよ。
アゲアゲくん
覚えておいてください!
アゲアゲくん
超ムカツク上司、感じの悪い近所の人、イヤミな同僚など!
アゲアゲくん
悪口言っていい場合はあります!
ミドリさん
あぁ!
アゲアゲくん
「アイツバカだね!あはは」と愚痴、悪口言うことは・・必要悪!
ミドリさん
そうだね。言わないと溜まる一方だもんね。
アゲアゲくん
殴らない方がいい!優しくなった方がいい!
アゲアゲくん
でもね・・。子供同志ってえげつないのです。
アゲアゲくん
反抗する!殴る!これが身を守ってくれることがある!
ミドリさん
いじめを防ぐとか、かな?
アゲアゲくん
そうですね。
アゲアゲくん
心にピストルを持ってないと、脅されっぱなしです。下の画像みてね。
ミドリさん
そうか。子供の世界は良い子ばっかじゃないものね。
アゲアゲくん
子供の方が弱肉強食の世界ですからね。
ミドリさん
そうか。たしかにキツい子いたな。
アゲアゲくん
「これ以上やったら撃ち返すからな!」
アゲアゲくん
そんな見えないピストルは持ってていいものなのです。
アゲアゲくん
上のような状態だと相手は撃ちませんからね。
アゲアゲくん
これ、大人にも言えます。
ミドリさん
う・・。
アゲアゲくん
上司に言われっぱなし、強引な勧誘に弱い。
ミドリさん
う・・。私もそうだ。
アゲアゲくん
「これ以上言うと撃ち返すからな」
アゲアゲくん
そんな心のピストルは誰にも必要不可欠です。
ミドリさん
そうか!
ミドリさん
「悪口言っちゃだめ」「優しくしなさい」も例外がある!?
アゲアゲくん
その通りです!
アゲアゲくん
ミドリさん自身もね。
アゲアゲくん
「悪く言っちゃだめ」「優しくなければ」とムリすることないのですよ。
ミドリさん
そうだね!私、それでしんどかったんだから!
アゲアゲくん
「言葉で優しさ教えるのはムリ」こう覚えておくといいですよ。
アゲアゲくん
「言葉なんてシャボン玉~」と想っておきましょう。
ミドリさん
マジ?
アゲアゲくん
マジマジ。
アゲアゲくん
嬉しくないなら、悪口言うことも必要です。
アゲアゲくん
大事なのはエナジーですから。
アゲアゲくん
悪口も言うことでエナジーは回復します。
ミドリさん
そっか、ミサキもテツヤ君に対してストレス抱えているかもしれないんだ。
アゲアゲくん
はい。悪口も使いようなのです。
ミドリさん
「家では言っていいけど、本人には言うな」みたいな?
アゲアゲくん
そうです。ご飯時に言ったくらいなら目くじらは立てない方がいいです。
ミドリさん
そっか、分かった。
アゲアゲくん
ミドリさん自身も、ね。
アゲアゲくん
悪口言う姿を見せてもいい。でもそれ以上に優しい姿を見せる。
アゲアゲくん
悪口3:優しい7くらいの人間でいてくださいね。
ミドリさん
うん、気をつける!
アゲアゲくん
学校では「正しいから優しくしなさい」というニュアンスで教えてきます。
アゲアゲくん
これが、子供たちを縛っているんです。
ミドリさん
縛っているの?
アゲアゲくん
はい。
アゲアゲくん
優し過ぎるため、自己犠牲を払う子がいるんです。
アゲアゲくん
目安になる子の話をしましょう。
アゲアゲくん
ある小学校三年生の男の子。普段温厚。怒らない。思いやりもある。
アゲアゲくん
クラスに攻撃的な子がいました。ある日、悪口を言われました。
アゲアゲくん
喧嘩が始まり、取っ組み合いに。
アゲアゲくん
悪口言う方には取り巻きがいました。
アゲアゲくん
喧嘩は3人vs1人。
アゲアゲくん
それでも彼は喧嘩をやめない。プライドが傷ついたから。
アゲアゲくん
結局、負けてしまいましたが、彼の中では自信がついたのです。
アゲアゲくん
「いざとなったら自分はやれる」
アゲアゲくん
このことを知った彼には余裕が生まれました。
アゲアゲくん
それ以降も、彼は温厚です。傷つけない。困っていたら助ける。
アゲアゲくん
ただ攻撃的な人には、にらみをきかせます。
アゲアゲくん
「いざとなったら、オレはやるからな」
アゲアゲくん
そう思うだけで、変な相手は寄ってこないことを知ったのです。
アゲアゲくん
良い仲間に囲まれ、彼は幸せを感じています。
アゲアゲくん
やがて彼は「世の中をもっと良くしていきたいな」と考えるようになります。
アゲアゲくん
優しい子でも”ピストル”を心に持っているものですよ。
ミドリさん
バランスが大事なんだね。
アゲアゲくん
悪口や反抗。時に暴力もアリなんです。
アゲアゲくん
言葉で優しさは教えられません。
アゲアゲくん
優しさは多めに、悪口は控えめに。それくらいでいいのです。
ミドリさん
完璧な子、完璧な親になっちゃダメなわけか。
アゲアゲくん
はい。
アゲアゲくん
幸せな子になってね。嬉しいことが沢山ありますように。そう祈った方がいいですね。
ミドリさん
なるほど。分かったよ。

ミドリさんの会社

後輩
先輩ー。相談が・・。
ミドリさん
どうしたの?
後輩
課長のことで困っているんですけど・・

10分後

後輩
・・ということなんです。私が間違ってるのかなぁ。
ミドリさん
・・・そっか。
ミドリさん
あの課長、バカだからね。
後輩
・・そうですよね!
ミドリさん
そうそう。バカと思ったんだから「バカ」でいいんだよ♪
後輩
はい!
ミドリさん
課長本人に言っちゃダメだけどね♪
後輩
あははっ♪
後輩
ありがとうございます。楽になりました。
ミドリさん
うん。良かった。

商店街

おじいさん
・・・。

ぽとっ

ミドリさん
あ!お財布落としましたよ。
おじいさん
あースマンな。
ミドリさん
はい、これ。
おじいさん
どうもありがとう。
ミドリさん
いえいえ。良かったです。

 

アゲアゲくん
そうそう。良い感じですよ。
ミドリさん
おっと。アゲアゲくん。いたの。
アゲアゲくん
今、「お財布拾ってあげて良かった」って思えてるでしょ?
ミドリさん
うん。
アゲアゲくん
エナジーに余裕あるからですよ。
ミドリさん
うん。
アゲアゲくん
もしエナジーなかったら、どう思うと思います?
ミドリさん
んー喜べない?
アゲアゲくん
はい。財布渡してもね。
アゲアゲくん
「謝礼はないの!?」「ネコババすれば良かった!」と思うものなのです。これは誰でも一緒。
ミドリさん
んー。なるほど。私に余裕がないとそう思うかも。
アゲアゲくん
ぜーんぶエナジーなんです。
ミドリさん
うん。おじいさんに「ありがとう」って言われて嬉しかったのは、私のエナジーが多かったからだね。
アゲアゲくん
その通りです!
アゲアゲくん
親はね。子供に嬉しいことを沢山させてあげる。
アゲアゲくん
子供のエナジーは満たされる。
アゲアゲくん
そのときに「優しくしようね」という言葉は分かってくれます。
ミドリさん
優しくする喜びを味わえるからだね。
アゲアゲくん
はい。そして、ね。
ミドリさん
なに?
アゲアゲくん
優しくする喜びを味わえた。
アゲアゲくん
こうなった子は将来どうなると想います?
ミドリさん
どうなるの?
アゲアゲくん
親孝行してくれるんですよっ!
ミドリさん
わぁ♪
アゲアゲくん
想像してみてください!
アゲアゲくん
ミサキちゃんから親孝行されるときのミドリさん♪
ミドリさん
メロメロになっちゃうなぁ♡
アゲアゲくん
そのモチベーションで頑張りましょう!

 

優しさは教えるものでなく

「優しくなろう」と教え続ける。

理屈で、ときには「お母さん悲しいよ」という感情論で教える。

この姿は、街中でもみかけますし、そういう方法論もあります。

 

こういった姿は真似しないでおきましょう。

 

優しい子というのは、エナジー残量が「3」なだけ。

優しい子も残量が「1」になれば、優しく出来ないのです。

 

冒頭でミサキちゃんが悪口を言っていました。

本人目の前にして「バカ!」と言ったのなら要注意ですが、あれくらいの場合は聞き流しても大丈夫です。

 

優しい子の特徴は「先に喜びがあるからやっている」です。

言い換えれば、喜びを感じなければやらない。

それもアリなんです。

 

優しい子は偏りがないんですね。

天使でも、悪魔でもなく人間で。

親子ともに優しさ7:悪口3くらいでいましょう。