第26回 伝説のおっさん

~休日・商店街にて~

ミドリさん
お昼なにしよっかー。
アゲアゲくん
お腹空きましたねー
ミドリさん
あ!お好み焼き食べにいかない?
アゲアゲくん
オコノミヤキ?
ミドリさん
知らないの?
アゲアゲくん
はい!全く!
ミドリさん
うーん、なんて説明したらいいかな。和風ピザ?
アゲアゲくん
オコノミを焼いた食べ物ですか?イカ焼きみたいな!
ミドリさん
えーと、オコノミに焼くんじゃないかな??
アゲアゲくん
??
ミドリさん
まー、行ってみない?この辺に「洋風お好み焼き」のお店が出来たんだって。
アゲアゲくん
行きましょう!行けば分かるさ!
ミドリさん
じゃあ洋風お好み屋さんへレッツゴー!
アゲアゲくん
ゴー

 

~洋風お好み焼き「ドルノ」~

店員
お待たせしましたー!
アゲアゲくん
いよ!待ってました!
ミドリさん
これが洋風お好み焼き!大きい!
店員
生地とソースが自慢の当店オリジナルですよ!
アゲアゲくん
「実」じゃないんですね。
ミドリさん
アゲアゲくん
食べましょう!
ミドリさん
うん!
アゲアゲくん
・・・。
ミドリさん
・・・。これは・・・
アゲアゲくん
ウマイ!!
ミドリさん
美味しいー♪
ミドリさん
卵多め、生地が硬めでソースに工夫があるのね。ケチャップと辛子と・・マヨネーズかな。
アゲアゲくん
オコノミはウマイものなんですねぇ♪
店員
ありがとうございます。先月テレビで紹介してもらって。遠方からも来てくれるんですよー。
ミドリさん
味もボリュームも抜群だもんね♪気に入った!
アゲアゲくん
僕、人間界来てよかったです♪
ミドリさん
ふふ♪

~20分後~

ミドリさん
ごちそうさまー。
アゲアゲくん
さまでしたー。食った食った。
店員
ありがとうございましたー!また来てくださいね!
ミドリさん
ただいまー。
アゲアゲくん
ただいまー。
ミドリさん
お腹いっぱいになっちゃたなー。晩ご飯どうしよう
アゲアゲくん
美味しいモノだらけで困っちゃいますね。
ミドリさん
ホント(笑)
アゲおっさん
キミ、アゲアゲくんやろ?
ミドリさん
!!!
アゲアゲくん

 

ミドリさん
えっ!!!
アゲアゲくん
??
ミドリさん
アゲアゲくんが二人!?なんで??いつもの変身じゃないよね?
アゲアゲくん
??
アゲおっさん
初めましてやなぁ。
ミドリさん
やっぱり別人なのか。
アゲアゲくん
・・・。そんなハズは・・。
ミドリさん
・・・?
アゲアゲくん
あなた誰ですか?アゲアゲ界の者とは分かるけど
アゲおっさん
あぁ、スマンな。そら分からんわな。
アゲおっさん
ワシな、アゲおっさんや。
ミドリさん
!?
アゲアゲくん
アゲおっさん!実在したなんて!
ミドリさん
アゲアゲくん?
アゲアゲくん
噂はホントだったのかー!
アゲおっさん
上のモンには秘密やで。
ミドリさん
えーと。
ミドリさん
ゴメンナサイ。この方はどちら?
アゲアゲくん
伝説のアゲおっさんです!
ミドリさん
伝説!?
アゲアゲくん
はい!説明した方がいいですか?
ミドリさん
ぜひお願い。
アゲアゲくん
まず僕はアゲアゲくん。アゲアゲ界から来た使者。アゲ者です。
ミドリさん
うん。それは知っている。
アゲアゲくん
アゲ者は人間界をアゲアゲにするのが使命。
アゲアゲくん
アゲ者は進化するんです。課長→部長→専務みたいに。
アゲアゲくん
通常は「アゲアゲくん→アゲアゲさん」と進化するのですが。
ミドリさん
ふざけた呼び名だな・・・
アゲアゲくん
その中で。
アゲアゲくん
アゲアゲさんにならず、アゲおっさんになった。という唯一無二のアゲ者がいる。
アゲアゲくん
それが目の前にいるアゲおっさんです!
アゲおっさん
まぁ、そういうことや。
ミドリさん
なんで「おっさん」なの?つかぬこと聞きますが・・
アゲアゲくん
アゲ者は、いつかアゲアゲ界に帰るんです。
ミドリさん
え!
ミドリさん
アゲアゲくん、いなくなっちゃうの??
アゲアゲくん
そうですね。
ミドリさん
いつ?
アゲアゲくん
僕が帰りたくなったとき。もしくは帰還命令が出た場合ですね。大きく分けて。
ミドリさん
あ、あの!すぐには帰ったりしないよね!?
アゲアゲくん
帰る気ないですよ。こっちの世界大好きですから♪
ミドリさん
・・・ほっ。
アゲアゲくん
でね、アゲアゲ界にずーーーーっと帰らないアゲ者がいるんです。
アゲアゲくん
それがアゲおっさん。
アゲアゲくん
伝説ではアゲおっさんが人間界にいる年数は1000年!
ミドリさん
1000年!
ミドリさん
ほんと?アゲおっさん?
アゲおっさん
まぁ大体合ってるで。もっと長いけどな
アゲアゲくん
「常識を越える滞在期間ゆえにおっさんになった」というのが有力説。ただ真相は謎。「都市伝説」と言えますね。
ミドリさん
都市伝説・・雪男やネッシーみたいなもの??
アゲアゲくん
そうですね。
アゲアゲくん
アゲおっさんはずっと消息不明でした。ただ存在はしているらしい。噂だけは絶えない。
アゲアゲくん
そのアゲおっさんと出会えるとは・・・人間界って刺激的!
ミドリさん
超有名人のアゲ者なのね・・。とりあえず大事なことは・・・。
ミドリさん
えーと、質問していいですか?
アゲおっさん
ええで。
ミドリさん
・・我が家に何の用でしょう?
アゲおっさん
・・・。アンタ名前は?
ミドリさん
え!?ミドリといいます。
アゲおっさん
・・・。ビールやな。
アゲおっさん
ミドリはん!ビールや!!
ミドリさん
えぇ!!?ビール?
アゲアゲくん
なるほど!まずはお出会いの宴ですね!
アゲアゲくん
ミドリさん、僕カラアゲ!!
アゲおっさん
おぉ!ビールにカラアゲ最高やな!
アゲアゲくん
気が合いますね!
アゲおっさん
ミドリはん、何してんねんな!はよビールや!!
ミドリさん
えぇっと、ウチにビールないんだけど・・・。
アゲおっさん
買うてきたらええがな。
ミドリさん
げぇぇ!??図々しい!
アゲアゲくん
あ! ついでにコロッケ買ってきてください!!
アゲおっさん
おぉ!ええな!ビールにコロッケ最高やな!
アゲアゲくん
気が合いますね!
ミドリさん
コラ!アゲアゲくん!調子乗るな!
アゲおっさん
ビールや!ビール!ワシ、ビール飲みたいんやー!!
ミドリさん
ええl?伝説が泣いてる!?
アゲアゲくん
カラアゲ、コロッケ、トンカツ、エビフライ食べたいー!!
ミドリさん
アゲアゲくんまでー!
ミドリさん
分かった!買ってくるから待ってなさい!さっきお好み焼き食べたのに??
アゲアゲくん
わーい!ミドリさん大好きー!!
アゲおっさん
待ってるでー。
店員
ありがとうございましたー!
ミドリさん
これだけ買えば充分だろう・・。奮発しちゃった。
ミドリさん
さっきのアゲアゲくん、初めてみるワガママだったなぁ。アゲおっさんのせい?
ミドリさん
いきなりビール要求して買物に行かせるなんて。伝説とはいったい・・
ミドリさん
アゲおっさん、要注意だわ。
ミドリさん
ただいまー。買ってきたよー。
ゆうすけ
きゃっきゃ♪
ケイイチ
やったぁ!オレの勝ち!!
アゲおっさん
がっはっは!!やるなぁ!兄ちゃん!!
ミドリさん
??
アゲおっさん
おう!ミドリはんお帰り!買うてきたか!?
ミドリさん
何をやってるの??
アゲおっさん
チンチロリンや。
ミドリさん
なにそれ?
アゲおっさん
知らんのかいな。サイコロの出目を競う遊びや。
ミドリさん
あ、なるほど。良かったね。遊んでもらって。
アゲおっさん
じゃあ、負けた子50円出してや。
ミドリさん
ちょっと待て!!
ミドリさん
アンタ何やってんの!
アゲおっさん
チンチロリンやて。さっき言うたやん。
ミドリさん
違う!なんでお金とってんの!
アゲおっさん
さ!宴会始めよか!
アゲアゲくん
わーい!
ミドリさん
話をきけー!
アゲおっさん
なんやねんな。もう。
ミドリさん
なんでお金とってんの!って聞いてるの!
アゲおっさん
賭けた方がおもろいやん。
ミドリさん
教育上良くないでしょ!
アゲおっさん
!・・あぁ。ほうか。
ミドリさん
アゲおっさん
アゲアゲくん、こっちで何を教えてんのかいな?
アゲアゲくん
アゲ親学です!
アゲおっさん
そうかぁ。
アゲおっさん
ミドリはん。あんた今、大変な時期なんやなぁ
ミドリさん
え!
アゲおっさん
ただな。大変なときほど、人は成長できるねん。
アゲおっさん
アンタの頑張り無駄やないで。この子らにちゃーんと届いてるで。
ミドリさん
え!あ、ありがとう!実は良い人??
ミドリさん
・・なんか怒ってゴメンナサイ。
アゲおっさん
さぁ宴会や!飲むでぇ!!※聞いてない
ミドリさん
はは・・。
アゲおっさん
 がっはっは!えぇでー!アゲアゲくん!
アゲアゲくん
あなたーをアゲるためーならー。ついていけるわたしー♪
ミドリさん
あ!アゲアゲくんお酒飲んでる!
ミドリさん
こら!子どもが飲んじゃダメでしょ!?
アゲおっさん
子ども?
ミドリさん
え!違うの?
ミドリさん
あ!そういえば!
ミドリさん
アゲおっさんはなんでウチに来たの?ビール買ってきたんだから教えてよ?
アゲアゲくん
  あ~。それ僕も知りたい~
アゲおっさん
ワシお好み焼きめっちゃ好きやねん。
ミドリさん
アゲおっさん
ワシ、大阪住んでんねん。
ミドリさん
うん。関西弁だもんね。
アゲおっさん
先月テレビでな。東京にある洋風お好み焼きを紹介してる番組を観てん。
ミドリさん
あ!あのお店!?
アゲおっさん
「洋風」ってなんやねん!?って思うやんか。食べてみたいやんか。
アゲおっさん
でも東京遠いやん?お金ないやん?貯めなアカンやん?
アゲおっさん
必死でお金作ってなぁ。薄っぺらのボストンバックで北へ北へ向かったんよ。花の都大東京や!
アゲおっさん
そして念願の店着いたんや。
アゲおっさん
ワシには心に決めてたことがあった。
アゲおっさん
ワシはお好み焼き愛してんねん。もう星の数ほどのお好み食べてきたよ。テレビチャンピオン出たらワシ優勝するよ。そんなワシでも「洋風」は初めてや。ホンマにウマいんか。ただの客寄せちゃうんか。
アゲおっさん
一口食べて不味かったら「お好みなめんなや!」って店長どついたろ思うてたよ
アゲおっさん
けどちゃうかった。ここのお好み焼きホンマ美味かったわぁ。
アゲおっさん
ワシ、感動したよ。「やっぱ人間界最高やねぇ」思うたよ。
アゲアゲくん
うん!分かります!サイコー!
アゲおっさん
せやろ?ただな。お好みめっちゃウマかってんけど大問題あってん。
ミドリさん
え!なに?あのお店私も気に入ったんだけど。
アゲおっさん
帰りの駄賃なくなってもうてん。
ミドリさん
・・・。
アゲおっさん
お好みはウマかった。ただワシの財布は限界やった。「大東京で洋風お好み焼きを食う」このためだけに頑張ってきたワシと財布や。
アゲおっさん
例えるなら「あしたのジョー」や。「燃え尽きちまった真っ白に・・」の矢吹丈や。
ミドリさん
・・・。
アゲおっさん
どうやって大阪帰ろう。思うたときや。
アゲおっさん
なんと!店にアゲ者がおる。お好み食うてる。金はどないしたんやろ。なんや人間と一緒に食うてるやないか。
ミドリさん
イヤな予感が・・・。
アゲおっさん
「天の神さんありがとう!」そない思うたねー。
ミドリさん
・・・ようするにたかりに来たのね。最悪
アゲおっさん
大丈夫や!そのつもりやったけど、心配せんでぇぇ。
アゲおっさん
帰りの駄賃はもういらんねん!
ミドリさん
そうなの?良かった・・
アゲおっさん
今日からワシ、ココ住むわ。
ミドリさん
なにいってんの!?もっと最悪!
アゲアゲくん
おぉ!
ミドリさん
ダメ!絶対!
アゲおっさん
なんでやの?
ミドリさん
理由ありすぎ!
アゲおっさん
まさか断るんちゃうやろな?
ミドリさん
断固拒否。
アゲおっさん
はー。しゃあないか。分かるよう説明したるわ。
アゲおっさん
ワシ、アゲアゲ界の伝説やで?ワシが住むっちゅうことはやで?
アゲおっさん
福の神が常駐するくらいの有り難いことなんや。
アゲおっさん
福の神自ら「よっしゃ!住んだろ」言うてくれてるんや?もったいない思うやろ?
ミドリさん
思いません。
アゲおっさん
あ!分かった!金か。金やな。最近の人間はなんや、なんでも金に見立てるからな。悲しいこっちゃで
アゲおっさん
「コイツ住まわせたら金かかるわぁ」思うてんねやろ?
アゲおっさん
ワシを金食い虫の役立たず。能なしポンコツに思うてるわけや。
ミドリさん
え??そ、そんなつもりじゃ・・。
アゲおっさん
心配無用や。ワシ自分で稼ぐで。
ミドリさん
どうやって??
アゲおっさん
パチンコ、麻雀、競輪、競馬。その他もろもろ賭博産業がワシの稼ぎやギャンブラーやねん、ワシ。
ミドリさん
げ!
アゲおっさん
ただ宝くじはアカンねん。あれ、運任せやろ。ロトはやるけどな。
ミドリさん
早く出てけ。
アゲおっさん
 分かった!分かったて!じゃあワシのアゲアゲ学教えたるがな。
ミドリさん
アゲ親学とは違うの??
アゲおっさん
アゲ親学はアゲアゲくんが編纂した親向け。最新のもんや。
アゲおっさん
ワシのアゲアゲ学はもっと広いねん。原典アゲアゲ・バ・イーブオからの人生哲学。まぁ古典やな。
ミドリさん
うさんくさ・・・。
アゲおっさん
何言うてんねんな!ここだけの話やで?
アゲおっさん
これめっちゃサービスやで!?誰にも言うたらアカンで!?
ミドリさん
なんなのよ?もったいぶっちゃって。
アゲおっさん
ミドリはん。豊臣秀吉知ってるやろ?
ミドリさん
えーと大昔にいたエライ人よね。名前は聞いたことが・・
アゲおっさん
秀吉は農民から天下人になった日本一の出世男や!知らんのか!?
ミドリさん
それがどうかしたの?歴史は苦手なの。
アゲおっさん
秀吉に天下とらせたんワシやで。
アゲアゲくん
さすがアゲおっさん!
ミドリさん
ウソだー!!
アゲおっさん
何年前やったかなー。秀吉がな。木下藤吉郎って名前のときおうてん。
アゲおっさん
えらい明るい性格でな。「この兄ちゃんモノなるで!」思うて一緒にいたんや。
アゲおっさん
「中国大返し」って事件あるやん?秀吉が天下とることなった事件や。岡山から京都へ10日で帰ってん。
アゲおっさん
秀吉の主人、織田信長は本能寺で明智光秀に討たれてもうてな。秀吉は岡山に出張中やった。光秀は京都や。
アゲおっさん
ワシ、相談受けてん。「どないしましょ?」って。「帰るべきやで」ってワシいうてん。
アゲおっさん
「分かりました!」言うて秀吉は帰ってん。そんで明智光秀に勝って天下とったんや。
ミドリさん
・・・。
アゲおっさん
ワシがおったら、旦那はん大出世間違いなしやで!天下取ったれやー!
ミドリさん
・・・。
アゲおっさん
なんや?その冷めた目は。
ミドリさん
今、旦那いないので。
アゲおっさん
シングルマザーかいな?
ミドリさん
あぁ、違います。旦那は単身赴任中。
アゲおっさん
よっしゃ!今日からワシがこの家の旦那や!甘えてえぇで!
ミドリさん
あほかー!!
アゲおっさん
分かってるて!心配せんでも!
ミドリさん
??
アゲアゲくん
ホンマの旦那はん帰ってきてる間はワシどっかいくがな・・野暮やないでー。
ミドリさん
いやーおっさんくさいー!さいてー!
ミドリさん
とにかく!私はアゲアゲくんがいてくれたら充分!
ミドリさん
ウチじゃなくても、他に家に行けばいいじゃない!?
ミドリさん
福の神なんでしょ?秀吉に天下取らせたんでしょ?どこでも住まわせてくれるわよ。
ミドリさん
アゲアゲ界に帰らない理由は知らないけどさ!伝説のアゲおっさんがウチにこだわることないでしょ!
アゲおっさん
・・・。
アゲおっさん
・・・。せやな。
アゲおっさん
・・・ワシはな。アゲアゲ界に帰らんのやない。帰られへんのや・・・
ミドリさん
え?
アゲアゲくん
!?
アゲおっさん
どの世界にもおるやろ。ワシ、アゲアゲ界のアウトローやったんや。
ミドリさん
アウトロー?
アゲおっさん
「はみだしもん」って言った方が分かるか?不良やロクでなしやな。
アゲおっさん
ワシが人間界に来た理由はな。自分の都合やねん。アゲアゲ界に居場所なかってん。
アゲおっさん
若かってんなぁ。 はみだしもんのワシはな。「オレは悪くない。アゲアゲ界が悪いんや!」そう思いたくてコッチ来たんよ。
アゲおっさん
でもな。一緒やった。人間界にもワシの居場所なかったわ。

※以下もアゲおっさんのセリフです。

場所やなかってんな、問題は。ワシや。ワシそのものが間違いの元やったんや。

人間界でもワシはアカンかった。「アゲアゲ界帰ろうか」とも思った。

でも・・・ワシ自身が変わらん限りどこ行っても結果は一緒や。そない思うてん。

ワシ、伝説やないねん。スゴい評判が一人歩きしてるだけ。全部噂やねん。

ホンマのワシは変わる勇気のない、はぐれ者なんや。

もう何千年も放浪してんねん。

そうやって放浪してたら・・・おっさんになってもうた。

今日、お好み焼き屋でアゲアゲくんみたときな。めっちゃ幸せそうやった。

「僕はこの世界に来て良かった」そんなアゲアゲくんの声が聞こえた。

今な、人間界めっちゃ下がってるわ。ワシの知る中でも最大級や。

そんな中におってな。

「来て良かった」て言えるアゲアゲくん。すごいやんか。なんでそんなセリフ言えるのん?

一緒にお好み焼き食べてるこの女性。この人に秘密あんのん?

そんなこと思たらワシ・・・キミらの事、うらやましなってなぁ。

「このコらと一緒に住めたら、今度こそ変われるんちゃうか」

「ワシ、この世界来て良かったわ」そんなセリフが言えるんちゃうやろうか。

アゲおっさん
そんな・・・欲が出てもうた。
アゲアゲくん
アゲおっさん・・・。
アゲおっさん
気づいたわ。ミドリはんのおかげで気づけたわ。
アゲおっさん
・・ワシ格好悪いなぁ。
ミドリさん
・・・。
アゲおっさん
えぇおっさんが若い子みて憧れて。
アゲおっさん
ワシもこうなりたいって。あやかりたい思う。もう一回やり直したいって思う。
ミドリさん
ちょっと前の私と同じだ・・・
アゲおっさん
情けないなぁ。ホンマのアホやなぁ。
アゲおっさん
ワシは長い間おるだけの昼行灯や。年重ねただけ。誇れるものは年齢だけのアゲおっさんや。
アゲおっさん
ムリいうてスマンかった。一人でさまようことがワシの出来ることなんかもしれんなぁ・・。
ミドリさん
アゲおっさん・・・。
アゲおっさん
でもな。久々に大勢でビール飲めて。若い子らと話せて。ホンマ嬉しかったで。
アゲおっさん
みんなありがとう。東京来て良かったわ。
アゲおっさん
ほなな、大阪帰るわ
ミドリさん
ま、まって!アゲおっさん。
アゲおっさん
・・?
ミドリさん
さっきはゴメンナサイ!
ミドリさん
あの・・狭い我が家だけど・・・良かったら!
アゲおっさん
・・・!
アゲアゲくん
ミドリさん!!大好きー!
アゲおっさん
・・えぇのんか?ワシ、おっさんやで?アゲアゲくんみたいに若ないで?
ミドリさん
いいよ!一人も二人も変わんないって!
ミドリさん
アゲおっさんのアゲアゲ学?
ミドリさん
私も会社員だからさ。秀吉に天下取らせた人生哲学。教えてよ!天下とったるでー♪
アゲおっさん
み、ミドリはん・・・。
アゲおっさん
おおきにー!おおきにやでー!
ミドリさん
アゲおっさん!泣かないで♪
アゲアゲくん
よかったー!!
アゲおっさん
これでしばらく宿アリやでぇ・・・。ふっふっふ

 

敵か味方かアゲおっさん

ほぼ学び0で終わってしまった今回。

ミドリさんの家にアゲおっさんが住むことになりました。

 

学びがあるとすれば、2つ。

アゲおっさんが語った「自分自身が変わらないと、場所を変えても結果は同じ」がまず一つ。

成功する人は、どのジャンルにおいても結果を出せます。

大事なことはどのジャンルにおいても同じなのです。

 

反対に言えば、大事なことを知らなければ、どこへいっても失敗は続きます。

アゲアゲ界ではみ出しものだったアゲおっさんは、人間界でもはみ出しものでした。

理由はアゲおっさんの立ち振る舞いが悪いから。※アゲおっさんの昔話がどこまでホントかは別として。

 

人の世でも同じことが起きています。

何回転職しても職場に馴染めない。

何回恋愛・結婚しても別れてしまう。

何回転校して、いじめに遭ってしまう。

この場合、場所ではなく本人の考え方と立ち振る舞いにメスをいれるのです。

 

もう一つ。

ミドリさんがアゲおっさんに思った「ちょっと前の私と同じだ・・」

このくだりは共感です。

「アゲおっさんは昔の自分と同じことで悩んでいるんだな」と感じたわけですね。

 

ミドリさんは「変わりたいのに変われない」という悩みを抱いていました。

優しい母でありたいのに、怒ってしまう。

ヒステリーを起こしてしまう。叩いてしまう。

本を読んでもセラピーを受けても変われない。

その経験が、アゲおっさんの話に共鳴したのですね。

 

自身の弱みをさらけ出したら、ミドリさんが共感してくれた。

アゲおっさんはとてもとても嬉しかったのです。※アゲおっさんの昔話がどこまでホントかは別として。

 

前回の第25回で、ミドリさんは我が子に対し共感が出来るようになりました。

今回は、アゲおっさんに対して共感が出来たのです。

 

策士かつ一癖も二癖もあるアゲおっさん。

たまに登場しますので、アゲおっさんのアゲアゲ学もお楽しみください。