第67回 あなたのせいじゃない?

ミドリさん勉強中

ミドリさん
ふむふむ。
ミドリさん
「子どもの意見を尊重すると素直な子に育つ」
ミドリさん
私、尊重出来てないかも。反省。
ミドリさん
支配的な毒親環境で育ったからなぁ。
ミドリさん
・・ってことは。
ミドリさん
尊重したら母さんみたいにはならないか。
ミドリさん
よし!頑張る!

 

電話
プルルー♪プルルー♪
ミドリさん
はい。もしもし。あ、母さん。
ミドリさん
三連休はウチに来たい?
ミドリさん
明日なら空いてるよ。
ミドリさん
分かった。晩ご飯食べにいこうか。じゃあね
ミドリさん
まぁ、ご飯くらいならいいか。

 

三連休初日

ミドリさん
ミサキ。おばあちゃんと出かけるよ。
ミサキ
いい。
ミドリさん
どうして。
ミサキ
家にいたい。
ミドリさん
行かなきゃ晩ご飯なくなるよ?
ミサキ
お弁当でいい。
ミドリさん
折角おばあちゃん来てるんだし。三連休だし。行こうよ。
ミサキ
・・・ヤダ。
ミドリさん
この・・💢
ミドリさん
あ!いけない!
ミドリさん
ここは意見を尊重した方がいいのか!?
ミドリさん
分かった。いいよ。
ミサキ
・・!
ミドリさん
晩ご飯、お弁当でいいんだね?
ミサキ
うん。

 

夜・ミドリさん帰宅

ミドリさん
ただいまー。
ミサキ
・・・。
ミドリさん
お弁当買ってきたよ。
ミサキ
・・・。
ミドリさん
あと、おばあちゃんきたから。
ミドリさん母
こんばんは。
ミサキ
・・・。
ミドリさん
ミサキなんで不機嫌なの??
ミドリさん
意見尊重したのに!?
ミサキ
・・・。
ミドリさん母
ちょっと。ミドリ。こっち来なさい。
ミドリさん
な、なに?
ミドリさん母
ミサキ、ワガママなんじゃないの
ミドリさん
え!?
ミドリさん母
けじめつけないとダメじゃない。
ミドリさん
うん・・・
ミドリさん母
そんなことだから悪く育つのよ。
ミドリさん母
将来アナタが困るんだからね。
ミドリさん
・・。うん、そうだね。ゴメン。

 

その日の深夜

ミドリさん
はー。
アゲおっさん
起きてるんかいな。
ミドリさん
あ、アゲおっさん。
ミドリさん
眠れなくて。
アゲおっさん
なんかあったんかいな。
ミドリさん
あぁ・・うん。
アゲおっさん
・・・。
アゲおっさん
一杯飲むか?
ミドリさん
・・そうだね。眠れないし。
アゲおっさん
ビールでエエ?
ミドリさん
うん。
アゲおっさん
 待っててや。
アゲおっさん
グラスで飲むビールもエェもんや。
ミドリさん
ありがとう。
アゲおっさん
で、どないしてん?
ミドリさん
今日から三連休じゃない?
ミドリさん
母さんが「ウチに遊びに来たい」って。
ミドリさん
みんなでご飯行こうと思ったんだけど。
アゲおっさん
ほう。
ミドリさん
そしたらね。
ミドリさん
ミサキが「行きたくない」って。
ミドリさん
「子どもの意見を尊重するのが大事」って本で読んでさ。
ミドリさん
ちゃんと尊重したんだよ。
ミドリさん
「お弁当買ってきたげるから。家にいていいよ」って。
アゲおっさん
それで?
ミドリさん
帰ったらね。不機嫌で返事もしないの。
アゲおっさん
そらショックやな。
ミドリさん
だよね?
ミドリさん
嫌な気分になるのは仕方ないよね?
アゲおっさん
せやな。誰でも凹むわ。
ミドリさん
「尊重したのに!?」ってパニクっちゃった。
アゲおっさん
それで眠れないほど凹んでるんか?
ミドリさん
・・え??
アゲおっさん
悪い意味やないで。心配やねん。
アゲおっさん
凹みすぎとちゃう??
ミドリさん
・・・。その後にさ。
ミドリさん
母さんに「甘やかすな」って言われて。
アゲおっさん
あぁ・・・。
アゲおっさん
お母はんが家に来たんやな。
ミドリさん
あ、ごめん。話してなかったね。
ミドリさん
来る予定なかったんだけどね。
ミドリさん
母さん、ウチに寄ったんだよ。
ミドリさん
ミサキが不機嫌なのを見てさ。
ミドリさん
私が甘やかしてるせいだ。
ミドリさん
将来困るよ、って言われて・・・。
アゲおっさん
なるほど・・。
アゲおっさん
急にお母はん来て、ウチ寄って、ダメだしされたんか。
アゲおっさん
それはキツいな。
ミドリさん
母さんの言う通りにやればいいとも思えないんだ。
アゲおっさん
ほう?
ミドリさん
だって私が幸せじゃないから・・。
アゲおっさん
・・・。
ミドリさん
母さんとは違うやり方で育てよう。
ミドリさん
そう思ってるんだけどね。
ミドリさん
ぜーんぜん結果が出ないよ。
ミドリさん
母さんのやり方は違う。
ミドリさん
でも別の方法も出来ないんだ、私。
ミドリさん
ダメかな、私。もう。
アゲおっさん
心配せんでエエ。
ミドリさん
・・・。
アゲおっさん
なんで・・。
アゲおっさん
ミサキちゃん、不機嫌やったんやろな。
ミドリさん
・・。分かんない。
アゲおっさん
ミサキちゃんはお母はんのこと好きか?嫌いか?
ミドリさん
ミサキが私の母さんを好きかってこと?
アゲおっさん
せや。おばあちゃんのこと好きか、嫌いか。
ミドリさん
えー。どうだろう。普通に話してるけど。
アゲおっさん
内心はどないや?
ミドリさん
内心・・。
アゲおっさん
嫌ってるのとちゃうの?
アゲおっさん
アンタと同じように。
ミドリさん
・・・あ。
アゲおっさん
アンタもお母はんのこと苦手なんやろ。
ミドリさん
うん。
アゲおっさん
でも表情には出さへん。表向きは仲良しにせんと。
ミドリさん
そうだね。
アゲおっさん
疲れるやん?
ミドリさん
うん。疲れる。
アゲおっさん
ミサキちゃんも同じなんやと違うの?
ミドリさん
そ、そうか!?そうかもしれないね!?
アゲおっさん
今回の一件な。
アゲおっさん
「意見を尊重した、しない」やなくて。
アゲおっさん
そもそもに問題あるのと違うかなぁ?
ミドリさん
そもそも?
アゲおっさん
そもそもや。
アゲおっさん
お母はんがウチに来たこと。
アゲおっさん
もっと言えば。
アゲおっさん
孫から嫌われてる祖母。
アゲおっさん
これが一番の問題。
アゲおっさん
それをミドリはんが責任負って悩んでる。
アゲおっさん
ワシにはそう思えるな。
ミドリさん
・・・。
ミドリさん
母さんが嫌われているのが原因?
アゲおっさん
せや。
アゲおっさん
この話はな。最初から負け勝負やってん。
アゲおっさん
お母はんが好かれてたらな。
アゲおっさん
ミサキちゃんお出かけした思うで。
ミドリさん
それもそうだよね!?
ミドリさん
母さんが原因でミサキは不機嫌だったのかな!?
アゲおっさん
ワシはそう思うな。賭けてもエエで。
ミドリさん
はぁーーー。
アゲおっさん
せやな。疲れてまうな。
ミドリさん
ううん。力が抜けた。助かったよ。
ミドリさん
話聞いてくれなかったら、私、落ちこんだままだったね。
アゲおっさん
そら良かったわ。
アゲおっさん
何回も言うてるけど。
アゲおっさん
エエおかんやで?アンタ。
ミドリさん
あぁ、ありがと・・。
アゲおっさん
信じてぇな。
ミドリさん
でもでも。
ミドリさん
失敗ばっかだし、怒鳴ったり、叩いたりさー。
ミドリさん
自分が良い母親なんだって思えないよー。
アゲおっさん
失敗せずに、怒らず、叩かないのがエエオカンなんか?
ミドリさん
・・え?そうじゃない?
アゲおっさん
ちゃうて。大丈夫や。
アゲおっさん
サゲ親ほど心が見えへんねん。
アゲおっさん
「甘やかしたらアカン」
アゲおっさん
「私と同じ方法でやれ」
アゲおっさん
そない言うんよ。
ミドリさん
私の母さんがそうだよ!?
アゲおっさん
お母はん、なんも分かってへんやろ?
ミドリさん
うん。
アゲおっさん
いつから思ってるねん?
ミドリさん
子どもの頃からずっと。
アゲおっさん
じゃあ今回のこともな。
アゲおっさん
間違ってるのはお母はんの方ちゃうの?
ミドリさん
・・・。
ミドリさん
真に受けちゃったよね、私。
アゲおっさん
そういうこっちゃ。
アゲおっさん
「このオカン何もわかってへんな。アホちゃうか」
アゲおっさん
そう思ってええのと違う?
ミドリさん
いいのかな??
アゲおっさん
エエで。
アゲおっさん
今日、意見尊重しようとしたやんか?
ミドリさん
うん。
アゲおっさん
勉強してるやん?
ミドリさん
うん。
アゲおっさん
歩み寄ろうとしてるやん
ミドリさん
出来てないけど・・うん。
アゲおっさん
お母はんを反面教師に頑張ってるんや。
ミドリさん
うん。
アゲおっさん
悪い母親なわけないやんか。
アゲおっさん
ワシから言わせたらな。
アゲおっさん
アンタ光ってるねんで。
ミドリさん
あぁ、ありがと・・・。
アゲおっさん
事実を言ってるだけやで。
ミドリさん
悩むポイントが間違ってたのかな。
アゲおっさん
せやな。
アゲおっさん
無用にエナジー減らしすぎやねんな。
ミドリさん
・・・。
アゲおっさん
周りにアゲ親はおらんの?
ミドリさん
私の友達で?
アゲおっさん
せや。
アゲおっさん
サゲ親に囲まれてるのかもしれんなぁ。
ミドリさん
・・・。
ミドリさん
考えた事なかったな。
アゲおっさん
ミドリはん、優しいからな。
ミドリさん
分かった。意識してみるよ。

 

子どもの意見を尊重する。

尊重するにも深さがあります。

 

慣れないうちは、最初は少し尊重。

だんだん深めていくものです。

 

今回のミドリさんのように、誰かの邪魔で出来なくなることは多いにあります。

 

アナタの気持ちを見てくれない人が側にいませんか。

人間関係がネックとなっている場合、あるんです。

 

あなたのせいじゃないこと、本当にありますから。