第28回 自分のことは自分で
ちゃうやん!ちゃうやん!みんなで行ってのディズニーやん!?おっさん一人はアカンて!
我が家にディズニー行ける金銭的余裕はありません。あしからず。
もうちょっとマシな提案はないの?働いて稼いだるでー。とか。
でもねぇ。人はそれでは生きていけないのよ。甘くないの
~翌日・ケイイチの部屋にて~
あなたの夢をー♪あきらめないでー♪熱くいきーる、瞳が好きーだわー♪
あらー。この点数はマズイなー。目標のS高落ちちゃうよ。
~その日の晩~
母さんさ、今度友達とキャンプ行きたいんだけどさ。お金くれない?
~日曜日~
え?今日は遊びに行った方がいいんじゃない?約束あるんでしょ?
アゲ親学のレクチャーやがな。アゲアゲくんの生き甲斐やからな。
あとで何か請求してこない?「ディズニー連れてけ」とか。
~10分後~
うん。今はマシだどけね。アゲアゲくん来る前の私は、怒ってばっかりだったの。
「勉強しなさい」「迷惑かけるな」「こんなことも出来ないの!?」「エライね、賢いね」「いい加減にしなさい」などなど手出し口だしオンパレード母でしたー!
ボス猿と小猿みたいになってたの。「私、この子に嫌われてる」って感じたもんー!
今は「ケーイチの夢応援したい」って思えるようになってきた!※第25回参照
でも遊び制限するのは間違ってたかなー!!あの空気はもうイヤー!
でもでも、大事な時期に遊びに行くって。しかも今度キャンプだよ。宿泊だよ?
彼女が出来たとか?うーん。それなら遊びに行くのも仕方ないかー。私には内緒よね。
だとしたら誰だろう?バスケ部のエミちゃんかな。いや、この前ノート交換したというハルコちゃん??うーむ。
友達の誘いを断れないとか??トモくん?それとも最近よくLINEしてるマサミツくんと・・・
アンタ、友達の性格や深さまで把握してんのかいな?ケーイチくん中3やで。
私、母からずっと我慢させられてきたから。ケーイチに同じことを繰り返したくないんだ!
競馬で1000円負けたとするやろ。「くっそー」思うやん。負けた自分が惨めやん。
そこでな。「負けた1000円取りかえすんや!」って次のレースに大金ツッコむヤツは失敗するんよ。気負いすぎや。
ミドリはんは、子ども時代・・まぁ負けてもうたんや。
子どもは無力やねん。親がその気になったら子どもは負けるしかないねん。
自分の負けた人生・・まぁ勝ち負けはホンマはないんやけど、本人は「負けた」と感じてるねんな。
逆転させたいけど、自分ではようせぇへん。我が子に託してまうねんな
※以下もアゲおっさんのセリフです
ある父親はマジメ一本槍の公務員。
結婚して息子が生まれたら、とにかく勉強させた。
小学生までは父親がつきっきりで勉強させた。
中学生なったら、今度は家庭教師雇ってのつきっきりや。
この父親はなぜこんなことさせたのか。
父親自身な。ホンマは公務員やりたなかってん。
小さい頃から鉄道員なりたい思うててん。
でも生まれた家は商売人の家やった。
「商売人は勉強せんでもエェ」言われたんよ。昭和はそういう時代やったんや。
親はロクに勉強させてくれへん。鉄道員なんてもってのほか。
「鉄道員になりたい」と希望言うこともでけへんかった。
でも商売はしたくない。絶対継ぎたくない。
結局、家を継がず、鉄道員にもならず公務員になった。公務員やったら親も納得したんやな。
でも悔しいねん。「負けた」思てんねん。取り返したいねん。
だから「オマエのためや」と大義掲げて次のレース、つまり息子に勉強めっちゃさせてん。
もちろん、その子は反発するわな。
まぁ見事な不良になって、警察沙汰にもなったわ。
勉強させられた息子はずっと思ってたそうやで。
「オレは親の期待に応えられない」って。
でも言われへんねんな。親の方が強いから。
「やれば出来る」って親に言われたら、子どもはもう反抗でけへん。
せや。もっと言えば自分の「負け」を我が子で取り返そうとしたこと。
もっと言えば、自分がフィーバーする努力をやめたことなんや。
簡単や。公務員辞めて、鉄道員目指したら良かってん。
フィーバーしてへん自分の人生。逆転させるために子どもに夢託してしまう親や。
子どもからすればプレッシャー。ありがた迷惑なんやなぁ。
「自分の人生は自分で決めなさい」これが言えたら、どれだけ親子は救われるか。難しいんやなぁ。
それでも自分の受けた負の経験。我が子にすまいと気張ってるんやろ。
アンタほんまフィーバーしぃや。それがみんなのためや。
まずはもっと自分を誇ることやな。アンタ、エェおかんやで。
お母はんは、自分自身フィーバー出来へんかったのかもな。
自分の負けた分を、ミドリはんで取り返そうとしたんかなぁ。
「私も小さい頃こうされた!」って怒りながら、しつけてくることあった。
とても怖くて・・・。「私はこの人に従うしかない」と思った。
時間かかるかもしれん。それでもアンタは今、正しい道歩いているで。
ホンマや。ワシを誰や思うてんねん。伝説のアゲおっさんやで。
お母はんと似たようなことしてる自分に気づいたやろ?
ケーイチ君がどうしてほしいか。もうアンタは分かってるはずや。
それが分かってるアンタはエェおかんやでぇ。合格や。
~夕食~
ケーイチは信じて見守っていてほしいと思っている。見守っていてほしいと思っている・・・。
いや、まだ付き合えるとかじゃないんだけど!遊びに行けたくらいで!
いいよ!ケーイチのペースで受験やればいいって!キャンプへも行きなさい!
いや、でもオレ本当にS高行きたいんだ。学費かかることも分かってる。で、でもさ。
あなたの人生はあなたが決めなさい!母さん信じてる。
あぁやって自ら母親に言えるんや。これって信頼ちゃう?
ケーイチが「彼女出来そう」って言ってくれるなんて・・・。夢みたい。
みっともなくてもな。泣いてもな。足掻いたらええんやで。つかめるもんはどっかにあるねん。
~翌日・洋風お好み焼き「ドルノ」~
ミドリはん!このステーキ焼きがえぇ!ワシ、これ食いたい!ステーキ焼きデラックス!
お待たせしました!ステーキ焼きデラックスと豚玉になります!
ありがとうございます!高級和牛肉使ってるんですよ。
和牛なんて♪和牛なんてー!!最後食べたんいつやろー!東京来て良かったでー
やっぱり教わるならアゲアゲくんがいいー!無料だし!
自分の人生は自分で決める
「子どもは信じてナンボ」
「あなたの人生はあなた決めなさい」
この二つの言葉に今回は集約されています。
大まかにですが、子育てとは自分のコピーを作ることです。
自分が自分の人生を歩めば、子どもにもそうさせます。
自分が諦めてたら、子どもにも諦めさせます。
ミドリさんの母親は「諦めた」人でした。
ミドリさんが幼いころ、厳しいしつけにあったように、母親自身もまた同じしつけを受けて育ちました。
「あなたの人生はあなたが決めなさい」
こんな言葉は今や風前の灯火のようになっています。
win-winの関係あれば、lose-loseの関係もあります。
お子さんに向かって、心の中で構いません。
「あなたの人生はあなたが決めなさい」と思ってみてください。
同時にそれは、自分自身への誓いにもなります。
「あなたの人生はあなたが決めなさい!」
ケーイチ君にそう言えたことで、ミドリさんの心の錠前は一つ解かれました。
相手を信じた先にwin-winの関係はあるのです。