第60回 あげるのは嬉しい

お正月・ミドリさん宅

ミドリさん
はぁーー
アゲおっさん
ため息かいな。
ミドリさん
だってさー。
ミドリさん
明日、実家帰りたくないんだもんー。
アゲおっさん
帰らんかったらエエやん。
ミドリさん
そう思ったんだけどね。
ミドリさん
断りのLINE入れたんだよ。「今年は帰らないから」って。
アゲおっさん
ほう。やるやん。成長やね。
ミドリさん
そしたらね。
ミドリさん
「おせちもお年玉も用意したわよ」って母さんから返事来て。
アゲおっさん
帰ることにしたんか?
ミドリさん
うん・・・。
アゲおっさん
それ相手の策略ちゃうの?
ミドリさん
やっぱりー!?そう思う
アゲおっさん
気づいてるやん。
ミドリさん
母さんってさー。策士なんだよー。
ミドリさん
断れないツボを抑えて言ってくるのー。
アゲおっさん
気づいてて受け入れるのも難儀やな。
ミドリさん
怖くなったんだ。
ミドリさん
「お年玉とおせち用意した」って言われてね。
ミドリさん
「それでも行かないから」って返事するのがさ。
アゲおっさん
「喧嘩になる」って思ったんか。
ミドリさん
うん。もう条件反射だね。
ミドリさん
あぁ!私ってサイテー!
アゲおっさん
ちゃうちゃう。
ミドリさん
ちゃうの?
アゲおっさん
善悪考えすぎや。
ミドリさん
・・そうなのかな。
アゲおっさん
むしろ被害者やんか。
ミドリさん
・・・え?
アゲおっさん
驚くとこちゃうで。
ミドリさん
私って被害者なの?
アゲおっさん
せやで。
ミドリさん
・・・うーん。ちょっと考えさせて。
アゲおっさん
・・・。まぁ好きにし。相手のせいにしてエエんやで。
ミドリさん
はい。お年玉。
ケイイチ
ありがとう。
ユイ
ありがとう。
ミサキ
わーい。
ミドリさん
はぁ・・。
アゲアゲくん
表情冴えないですね。
ミドリさん
 うーん。イライラしちゃうんだよ。
アゲアゲくん
やっぱり。
ミドリさん
やっぱりー!?
アゲアゲくん
見返り求めちゃうでしょ。
ミドリさん
ギクっ!
アゲアゲくん
「休み明け学校ちゃんと行くんだよ」
アゲアゲくん
「普段愛想ないのに、お年玉だけ笑顔になっちゃって」
アゲアゲくん
「私の苦労も知らずに、なによ!ぷんぷん!」
アゲアゲくん
そんなこと思ってはいませんか。
ミドリさん
思ってマス・・・。
アゲアゲくん
大丈夫、大丈夫。あっはっは。
ミドリさん
アゲアゲくん
喜べないのは感度が下がってるから。
ミドリさん
感度??
アゲアゲくん
感度が下がるとね。喜べないのですよ。
アゲアゲくん
人格の問題ではないのです。安心して!
ミドリさん
感度が上がっていたら、お年玉あげて喜べるの?
アゲアゲくん
そうですよ。
アゲアゲくん
アゲ親はね。
アゲアゲくん
お年玉あげることが喜びになるんですね。
ミドリさん
お金あげて喜べる人がいるの!
アゲアゲくん
ミドリさんもそうなれますよ。
ミドリさん
そ、想像がつかない・・・。
アゲアゲくん
今、凹んでいますからね。
アゲアゲくん
凹んでいる状態で、お年玉あげても喜べないです。
アゲおっさん
がっはっは!
ミドリさん
アゲアゲくん
アゲおっさん
ワシからもお年玉や!
ミサキ
わーい!
ユイ
ありがとう。
アゲアゲくん
アゲおっさん、気前いいでしょ。
ミドリさん
嬉しそうだね。
アゲアゲくん
子どもたちの喜ぶ姿が嬉しいのですよ。
ミドリさん
自分の子じゃないのに。スゴいな。
アゲアゲくん
いえいえ。
アゲアゲくん
アゲおっさんがスゴいわけじゃないのですよ。
アゲアゲくん
普段から無理してないから。感度が高いだけ。
ミドリさん
じゃあアゲおっさんもね。
ミドリさん
世間体や道徳に縛られたら、イライラしだすの??
アゲアゲくん
そうですよ。
ミドリさん
・・・。
ミドリさん
あー!やっぱり里帰りは失敗だったかー!?
アゲアゲくん
気づけたのが収穫じゃないですか。
ミドリさん
そうか。来年は気をつけよう。
アゲアゲくん
来年のお年玉は喜べますよ。
ミドリさん
・・そう思うと楽しみだな!
アゲおっさん
ほれ。
ミドリさん
なに?

 

アゲおっさん
ミドリはんにもお年玉や。
ミドリさん
えー!?いいのー?
アゲおっさん
博打で大勝ちしたからな。山分けや!
アゲアゲくん
さすがアゲおっさん。
ミドリさん
ありがとー。
ミドリさん
って5万円!?
アゲおっさん
せや。みんな一律5万円や。
ミドリさん
・・・。ってことは。
ミドリさん
ミサキに5万円あげたの!?小学生だよ!?
アゲおっさん
せやで。アカンの?
ミドリさん
バランスってものがあるでしょ!?
ミドリさん
ゴメン!みんな!こっち来て!回収!
アゲアゲくん
あっはっは。

 

 

危険ブザー

みんな人それぞれに事情違います。

「あの人は出来るのに、私は出来ない」

こう思うと自己嫌悪になりますが、事情が違うのです。

 

お年玉をあげて喜べない人、おられると思います。

それはサインなのです。

 

ウルトラマンのカラータイマーのようなもの。

危険を知らせるブザーであり、センサーです。

 

実家に帰りたくないなら、帰らないでおきましょう。

疲れる相手に無理して付き合うことありません。

 

そのうちお子さんの喜ぶ姿に、感動している自分がいます。

センサーがレッドからグリーンになったのです。

 

サゲ親アゲ親では感じることが正反対です。

あげることが嬉しい。

そんな感覚は誰でも持てるものなのです。

 

次の第60回では、もう少し仕組みについてお話しいたします。

また次回も読んでいただければと思います。