第47回 迷っていい
~ミドリさん家~
ユイ
もう!ほっといてよ!
ミドリさん
!!
ユイ
私はね!母さんの人形じゃないんだよ!?
ミドリさん
ちょっと、ユイ!待ちなさい!
バタン!(ユイ部屋に入る)
ミドリさん
あ・・。
ミドリさん
ユイが・・反抗した。
ミドリさん
なんで?
ミドリさん
「私は母さんの人形じゃない」
ミドリさん
どういう意味?
ミドリさん
ずっと「人形だ」と思ってたのかな・・・。
ミドリさん
・・・。もしかして?
ミドリさん
私って取り返しのつかないことをしてたんじゃー??
ミドリさん
・・・。
アゲアゲくん
何を読んでいるんですか?
ミドリさん
子育て本・・の毒親特集。
アゲアゲくん
・・・
パタン!(本閉じる)
ミドリさん
・・はぁ。
ミドリさん
もしかして・・・。
ミドリさん
私って毒親なのかな・・・。
アゲアゲくん
・・・。
アゲアゲくん
いや。
ミドリさん
?
アゲアゲくん
毒親ではなくなりましたよ。
ミドリさん
え!?
アゲアゲくん
ミドリさんは今!最大の難関を突破したのです。
ミドリさん
ちょ、ちょっと説明してよ!
アゲアゲくん
「自分は毒親かもしれない」
アゲアゲくん
そう思ったんですね?
ミドリさん
うん。
アゲアゲくん
本当の毒親は自分を毒だと思っていない。
ミドリさん
うん。それは本にも書いてたよ。
アゲアゲくん
ということは?
ミドリさん
?
アゲアゲくん
「自分は毒親かも?」
アゲアゲくん
そう思えた時点で「底」は抜けたんです!
ミドリさん
私はもう毒親でなくなったの?
アゲアゲくん
これから少しずつ変わっていけるでしょう!
ミドリさん
・・・!
ミドリさん
・・はぁぁぁぁぁぁ。
アゲアゲくん
安心しましたか?
ミドリさん
うん。気が抜けたちゃった。
ミドリさん
今まで毒親関連の話を読んだことあるんだけどね。
ミドリさん
「へー。大変な人がいるんだ」って思ってた。
アゲアゲくん
大丈夫ですよ。そういうものなんです。
アゲアゲくん
気づけることがスゴいんですよ。
ミドリさん
私の親ってさ。毒親だと思うんだよ。
ミドリさん
気づいていないのかな?
アゲアゲくん
気づいてないと思います。
ミドリさん
なんで?
アゲアゲくん
・・・。「辛いから」でしょうね。
ミドリさん
・・・!
アゲアゲくん
今、ミドリさんも辛いですよね。
ミドリさん
うん、アゲアゲくんと話せたから良かったけど。
ミドリさん
一人だったらパニクってたと思う。ていうかパニクってたね。
アゲアゲくん
今の辛さに意味はありますから!
ミドリさん
ホント?
アゲアゲくん
ホント♪アゲアゲくんウソつかない!
アゲアゲくん
これからミドリさんは強くなれますよ。
アゲアゲくん
筋トレと同じです。
ミドリさん
筋トレ?
アゲアゲくん
筋肉はダメージから回復する過程で強くなります。
アゲアゲくん
「心」も同じなんです。
アゲアゲくん
今感じている辛さや痛さはね。
アゲアゲくん
強くなっていける証なんですよ。
ミドリさん
この痛みが証・・
アゲアゲくん
「自分は毒親かもしれない」
アゲアゲくん
そう思えた自分を褒めてくださいね。よく気づいた私って!
ミドリさん
・・・。ありがとう。
ミドリさん
これからどうすればいいかな・・?
アゲアゲくん
さしあって・・・
ミドリさん
さしあたって?
アゲアゲくん
今、すべきことは!?
ミドリさん
なに?
アゲアゲくん
コーヒーブレイクしましょう。入れてきます。
ミドリさん
ガクっ!
ミドリさん
ありがとう。
ミドリさん
ずずず・・・
ミドリさん
ふぅ。
アゲアゲくん
落ち着きましたか。
ミドリさん
美味しかったよ。
アゲアゲくん
これからを話しますね。
ミドリさん
うん。
アゲアゲくん
ミドリさんはこれから変わっていけます。
アゲアゲくん
僕の話すアゲ親学は、早く上がるための方法ですね。
ミドリさん
うん。
アゲアゲくん
コツはエナジーです。
ミドリさん
エナジー?
アゲアゲくん
人はね。本来は「嬉しいこと」「楽しいこと」しか出来ないのです。
アゲアゲくん
エナジーは嬉しいことで増えます。
アゲアゲくん
辛いことで減ります。
アゲアゲくん
嬉しいことを沢山する。これが大事。
ミドリさん
・・・そんなのでいいの?
アゲアゲくん
そんなのでいいんですよ。
ミドリさん
明日からユイにどうすればいいかな。
アゲアゲくん
気まずいですか?
ミドリさん
かなり。
アゲアゲくん
今、ミドリさんはエナジー回復してます。
アゲアゲくん
大丈夫です。自然と言葉が出てきますよ。
~翌朝~
ミドリさん
お、おはよー。
ユイ
・・・。
ミドリさん
・・・。
ミドリさん
ユイ、ゴメンね。
ユイ
・・え!?
ユイ
・・うん。いただきます。
ミドリさん
ふぅー。
アゲアゲくん
良い感じでしたよ。
ミドリさん
ゴメンって言葉が出たよ。
アゲアゲくん
今まで言ったことありましたか?
ミドリさん
こういうことでは初めてだね。
アゲアゲくん
ほら。成長してる。
ミドリさん
・・・あ!?
アゲアゲくん
「どう接したらいいんだろう」って思ったでしょ?
ミドリさん
うん。
アゲアゲくん
それが成長の証なんですよ。
ミドリさん
迷うことが??
アゲアゲくん
アゲ親ほど迷うものなのですよ。
ミドリさん
そうなの!?
アゲアゲくん
心が温かくなるほど迷うのです。
アゲアゲくん
「これでいいんだろうか??」
アゲアゲくん
その迷いこそが、思いやりなのです。
ミドリさん
そ、そうなの!?
アゲアゲくん
迷っていいんです。
アゲアゲくん
正しい道を示さなくてもいいんです。
アゲアゲくん
「私は親だけど、何にもわかってない」これでいいんですよ。
ミドリさん
今まで逆のことを考えてたよ。
アゲアゲくん
戦いの日々でなかったですか?
ミドリさん
そうだね。
アゲアゲくん
戦いは終わりそうですね!
ミドリさん
これから良くなっていくのかな。
アゲアゲくん
もちろん!
アゲアゲくん
今朝のミドリさんはユイちゃんの心に響いてますよ。
ミドリさん
ホント!?
アゲアゲくん
ホント、ホント。アゲアゲくんウソつかない!
夜は明けました
今までの自分は間違っていたのではないか。
そう思うことは辛いことです。
「自分は毒親かもしれない」
その気づきこそが、夜明けの合図です。
小さい子どもを思いだしてください。
ちょっとしたことで泣きます。
やがて泣かなくなり、強くなっていきましたよね。
今のあなたはその姿、そのままです。
それがいいんです。
バネのように落ち込みが激しいほど、ジャンプも大きくなります。
成長した人ほど、大きな事件を経験しています。
「変わることが出来たんだ」
そんな実感を得ている人はちゃんといますから。
道はありますよ。