第44回 頑張るよりも

ピンポーン♪

先生
こんにちは。
ミドリさん
あ、先生!
先生
ミサキさん、今日も学校来れませんでしたね。
ミドリさん
はい・・・。
先生
クラスの子も心配しています。
ミドリさん
すみません・・・。
先生
これ手紙です。
ミドリさん
 え?
先生
クラスみんなで書きました。
先生
「みんな待ってるよ」と伝えてください。
ミドリさん
はい・・・。
ミドリさん
あーどうしよう。

 

翌朝・ミサキの部屋

ミドリさん
・・・ミサキ。朝だよ。
ミサキ
・・・。
ミドリさん
先生が手紙もってきたよ。
ミサキ
・・・。
ミドリさん
クラスの子が心配してるんだって。
ミサキ
・・!
ミドリさん
行ってみたら?
ミサキ
ヤダ・・・。
ミドリさん
・・ワガママ言わないの。
ミサキ
・・・。
ミドリさん
起きなさい。
ミサキ
・・・。
ミドリさん
起きなさい!!
ミドリさん
学校行かないならね!
ミドリさん
せめて布団から出なさい!!

 

ガバッ!布団をはがす)

ミサキ
うえーん!
ミドリさん
・・・。
ミドリさん
・・・あ。
ミドリさん
・・・しまった。

 

その日の夕食

ミドリさん
ゆーすけ、おかず。残ってるよ。
ユウスケ
ごちそうさま。
ミドリさん
一口でいいから食べなさい。
ユウスケ
・・・。
ミドリさん
ほら。

 

ガッシャン!ゆーすけ食器投げる)

ミドリさん
何すんの!!
ユウスケ
うぇーーん
ミドリさん
あっそ!わかったよ!!
ミドリさん
もう食うな!!
ユウスケ
うぇーーん
ミドリさん
・・・。
ミドリさん
・・・ハッ!?
ミドリさん
またやってる・・・。
ミドリさん
あーダメだ。
アゲアゲくん
調子悪いですね。
ミドリさん
そうだね・・。
ミドリさん
調子悪いんじゃなくてさ。
ミドリさん
「そもそも私ってこんな人間なんだよな」って思っちゃうよ。
アゲアゲくん
それはないので大丈夫ですよ。空想です!
ミドリさん
なんでキレちゃうんだろう、私。
アゲアゲくん
キレるときどんな気分ですか?
ミドリさん
・・引かないでね。
アゲアゲくん
僕は何を言われても引かないですよ。
ミドリさん
・・・憎くてたまらない。
ミドリさん
・・・。
ミドリさん
あー私ってサイテーだ!

アゲアゲくん
最低じゃないですよ

ミドリさん
・・?
アゲアゲくん
ミドリさん、ごく普通です。
ミドリさん
・・そう思えないんだけど。
アゲアゲくん
そう思えないのも普通です!
ミドリさん
・・。そうなのかな。
アゲアゲくん
 そもそもが!
アゲアゲくん
冷酷な母親は悩みませんって!
ミドリさん
・・・。
アゲアゲくん
悩むのは心がある証拠ですよ。
ミドリさん
・・私、大丈夫なのかな。
アゲアゲくん
はい。アゲアゲくんウソつかない!
ミドリさん
・・。ちょっと楽になったよ。
アゲアゲくん
それは良かった。
アゲアゲくん
コーヒーでも入れましょうね。
ミドリさん
ありがとう。
ミドリさん
ずずず・・・
ミドリさん
ふぅ。
アゲアゲくん
落ち着きましたか。
ミドリさん
うん。
アゲアゲくん
さて。アゲ親学を話しましょう。
ミドリさん
よろしく。
アゲアゲくん
子供を叱りすぎてしまう。
アゲアゲくん
これは共感できるか、なんです。
ミドリさん
共感・・・。
アゲアゲくん
「学校行きたくない」という気持ち。
アゲアゲくん
「嫌いなものは食べたくない」という気持ち。
アゲアゲくん
ここに共感出来るか。どうか。
アゲアゲくん
叱りすぎがなくなっていきますよ。
ミドリさん
私は共感出来ない親なのか・・・。
アゲアゲくん
いやいやいや。
アゲアゲくん
大丈夫です!
アゲアゲくん
共感はね。選ばれしものが出来る超能力とかじゃないんです。
アゲアゲくん
誰でも出来る。出来ないようにもなるのですよ。
ミドリさん
私も共感が出来るようになる?
アゲアゲくん
はい!
アゲアゲくん
大事なのはエナジーです。
アゲアゲくん
スマホのバッテリーのように、人間はエナジーが「調子のパラメーター」になります。
アゲアゲくん
最大「3」なら、感度抜群。
アゲアゲくん
相手の痛みに共感しやすいのです。
ミドリさん
「1」なら?
アゲアゲくん
何も感じなくなります。”ヒドいこと”が出来てしまいます。
ミドリさん
あとから自己嫌悪に襲われるんだよね。
アゲアゲくん
そうですね。
アゲアゲくん
自己嫌悪になる。つまりエナジーが「0」になります。
アゲアゲくん
「いなくなりたい」
アゲアゲくん
「親になるんじゃなかった」
アゲアゲくん
そういった「逃避」のマインドになります。
ミドリさん
私は「1」と「0」の間だなぁ。
アゲアゲくん
困ったことに「1」と「0」はループするんですね。
ミドリさん
ループ?
アゲアゲくん
はい。
アゲアゲくん
ヒドいことをする→自己嫌悪(エナジー下がる)→またヒドいことをする。
アゲアゲくん
サゲサゲスパイラルになっていきます。
ミドリさん
私は今、これなんだね。
アゲアゲくん
ミサキちゃんの話をしましょう。
ミドリさん
うん。
アゲアゲくん
ミサキちゃんに必要なのは癒やしだと思います。
ミドリさん
そうだね。傷ついてるもんね。
ミドリさん
どうすれば癒やしになるの?
アゲアゲくん
共感してあげることです。
ミドリさん
共感・・・。
ミドリさん
どうすれば共感できるんだろう。
アゲアゲくん
言葉で言えば・・・。
アゲアゲくん
「辛かったんだね」
ミドリさん
辛かったんだね・・・。
アゲアゲくん
転んで怪我をしたときを思いだしてください。
アゲアゲくん
「痛いんだろうな」と想像出来ると思います。
ミドリさん
うん。
アゲアゲくん
これと同じです。
アゲアゲくん
ミサキちゃんは心の怪我をしたのです。
アゲアゲくん
見えないけど痛いんです。
ミドリさん
・・うん、そうだよね。
ミドリさん
「痛いんだよね。辛かったんだね」って思うとこだよね。私ってば・・。
アゲアゲくん
・・・。
アゲアゲくん
あのね。
ミドリさん
うん?
アゲアゲくん
ミドリさんも今、辛いですよね。
ミドリさん
・・・。
ミドリさん
・・・うん。
アゲアゲくん
叱りすぎた自分を許せない。
アゲアゲくん
優しくなれない自分が情けない。
アゲアゲくん
そんな気持ちでしょうか。
ミドリさん
・・・うん。
アゲアゲくん
ミドリさんも辛くて悲しいと思います。
アゲアゲくん
「大人だから平気」「母親だから耐えないと」
アゲアゲくん
自分を追い詰めないでくださいね。
ミドリさん
・・ありがとう。
アゲアゲくん
ミサキちゃんってどんな気持ちだと思いますか?
ミドリさん
・・・。
ミドリさん
学校行けない自分が許せない。
ミドリさん
起きられない自分が情けない。
ミドリさん
かな。
アゲアゲくん
共感出来てますよ。
ミドリさん
 ・・・。
ミドリさん
・・・はぁー。良かった。
アゲアゲくん
ちょっと休憩しましょう。おかわり入れてきますね。
ミドリさん
ふぅ。
ミドリさん
ちょっと希望が見えてきたよ。
アゲアゲくん
何よりです♪
アゲアゲくん
今、世の中サゲサゲなんです。
アゲアゲくん
親子ともに心に怪我を負っている。
アゲアゲくん
互いを傷つけ合う。
アゲアゲくん
こんなことが、世の中にありすぎています。
ミドリさん
うん。
ミドリさん
「正しくあれねば」というサゲサゲ?
アゲアゲくん
はい。
アゲアゲくん
僕からみればね。
アゲアゲくん
ミドリさんたちは「交通事故」にあっているように思えます。
ミドリさん
交通事故?
アゲアゲくん
別にミドリさんやミサキちゃんが悪いわけじゃない。
ミドリさん
あ・・・。
アゲアゲくん
でもなんか「申し訳ない」って気分になってるでしょ。
ミドリさん
うん。
アゲアゲくん
昨日、先生が手紙もってきたでしょ?
ミドリさん
そうだね。
アゲアゲくん
あの手紙もプレッシャーにならなかったですか?
ミドリさん
「なんとかしなきゃ」と思ったね。
アゲアゲくん
手紙にも良い手紙と悪い手紙があるじゃないですか。
アゲアゲくん
今回は悪い手紙をもらっちゃいましたね。
ミドリさん
・・うーん。そうか。
アゲアゲくん
あの手紙でエナジー下がったと思います。
ミドリさん
・・・あぁ、そうかも。
アゲアゲくん
「折角の好意を悪く思っちゃいけない」
アゲアゲくん
そんな風に思わなかったですか。
ミドリさん
・・・あぁ!思ったよー!
アゲアゲくん
やっぱり「交通事故」でしたね。ドンマイ!
アゲアゲくん
「私だけが悪いんだ」
アゲアゲくん
そんなこと絶対ないですからね。
ミドリさん
心得た方がいいね。
アゲアゲくん
ぜひ。
アゲアゲくん
学校ってね。「嬉しいを大事に生きていい」って教えてくれません。
アゲアゲくん
僕がいいます。
アゲアゲくん
嬉しいを大事に生きていいんです。
アゲアゲくん
キレイごとじゃなく、それで解決していくこと多いんです。
ミドリさん
・・・。
ミドリさん
「嬉しいを大事に生きていい」か。
アゲアゲくん
今はただの言葉かもしれないですね。
アゲアゲくん
アゲアゲになったとき。分かりますよ。
ミドリさん
そっか。楽しみにしてるよ!
アゲアゲくん
元気になってきましたね♪

 

共感できないときもある

伝えるのは難しいですが。

「辛かったね」

そうやって共感してくれる人は側にいますでしょうか。

 

正論ばかり投げかける人がいたら、エナジー不足になっていると思います。

叱り過ぎてしまう。優しくできない。

そんな場合、大事なのは、学習や反省などの努力ではありません。

大切なのは「癒やし」です。

 

共感してくれる人と会ってください。

「辛かったんだね」

その一言で救われるのが人間です。

 

悩み相談はアゲアゲくんも受け付けています。

よろしければご利用ください。