第30回 自立が一番だけれど

~早朝・冷蔵庫前~

ミドリさん
うーむ。なぜこんなことになったんだろう。
ミドリさん
冷蔵庫がビールだらけだ・・・。
アゲおっさん
おう。朝からしょっぱい顔してるやん。
ミドリさん
おはよう。アゲおっさん。あなたのビールなんだけどね。
アゲおっさん
一本もらうで。よっと。
ミドリさん
ちょと!朝から飲むの!?
アゲおっさん
飲むで。プシュッ!
ミドリさん
朝からビールは良くないでしょ!
アゲおっさん
なんでや?朝も夜も同じやん?
ミドリさん
お酒は夜に飲むものよ。
アゲおっさん
誰が決めてん?
ミドリさん
常識じゃない。
アゲおっさん
知らんがな。どうでもええわ。
ミドリさん
昼間飲んだら働けないじゃない。
アゲおっさん
ワシ関係ないやん。働かへんやん。
ミドリさん
くぅーやりづらいなぁ。ていうか働きなさい。
ミドリさん
子どもにも悪影響でしょ?
アゲおっさん
・・・。
ミドリさん
「子どもがいる前で朝からお酒飲む」これは母親として見せたくないです!
アゲおっさん
・・・。せやな。
アゲおっさん
「朝、子どもおる前で酒を飲む」これはせんほうがエエな。おっさんの負けや
アゲおっさん
気ぃつけるわ。開けちゃったからこれは飲んでエエ?
ミドリさん
分かってくれればいいの。どうぞ。
アゲおっさん
ほな、みんなおらんとこで飲んでくるわ。押し入れいこうかな。
ミドリさん
話せば分かってくれるのね。ちょっと意外。

 

ミドリさん
コラ!ゆーすけ!お片付けしなさい!
ゆうすけ
わーい!※聞いてない
ミドリさん
もう!いい!?遊んだら片付けるの!?分かった!
ゆうすけ
わーい!※聞いてない
ミドリさん
ガクっ!
ミドリさん
見事に話聞いてないなぁ。
ミドリさん
うーむ。怒るべきか・・・・
アゲアゲくん
ストォッップ!!シンキングー!
ミドリさん
わ!久しぶりにきたー!!考えるなって事ね!
アゲアゲくん
そうですね!原点回帰かな?
ミドリさん
ここで怒っちゃダメなの?
アゲアゲくん
ダメというより「意味がない」ですね。
ミドリさん
意味ないの?怒ったらゆーすけやると思うよ?
アゲアゲくん
そこがサゲ親の感覚なのです。
ミドリさん
ふむふむ?
アゲアゲくん
サゲ親(毒親含む)は見た目の行動を良くしようとします。
ミドリさん
アゲ親は?
アゲアゲくん
アゲ親は、心を変えようとします。
ミドリさん
うーん。
ミドリさん
「心」って言われてもよくわからないよ??
アゲアゲくん
要は見た目変わっても意味ないのです。
ミドリさん
つまり?
アゲアゲくん
親を好きになってもらえばいいのです。
ミドリさん
好き?
アゲアゲくん
「お母さん大好きー」と思ってもらうことが何よりも大事なのです。
ミドリさん
うー。
ミドリさん
それは私の理想だけど!めっちゃ好かれたいけど!
ミドリさん
でもここはビシッと言うべきじゃないの??
アゲアゲくん
うー。
ミドリさん
マネしてる
アゲアゲくん
それって辛くないですか?
ミドリさん
え!?
アゲアゲくん
ビシッと言いたいなら言って良いと思います。
アゲアゲくん
でも言いたくないんでしょ?
ミドリさん
うん。出来れば。
アゲアゲくん
なら言わなくていいんですよ。
ミドリさん
いいのかな・・・。
アゲアゲくん
「親は嫌われてナンボ」この考え方はNGですよ。
ミドリさん
あ!それ思ってたかも。
アゲアゲくん
「お片付けできないこと」
アゲアゲくん
これってミドリさんにとって耐えがたいほどのことですか?
ミドリさん
いや、そりゃ耐えがたいことじゃないけどさ。
アゲアゲくん
ミドリさん。子育てってもっと自由なんです。
アゲアゲくん
喜びであり、楽しいものです。僕はそれを伝えたい!
アゲアゲくん
さっき楽しかったですか?
ミドリさん
楽しくない。
アゲアゲくん
やらない自由があるんですよ、ミドリさんには。
ミドリさん
そんなこと考えたことなかったよ。
アゲアゲくん
でもあるんですよっ!
ミドリさん
私、子どものころ怒られてばっかだったからなー。その辺がわからない
アゲアゲくん
アゲ親の家ではどうなっていると思います?
ミドリさん
どうなってるの?
アゲアゲくん
片付け出来ない子は、親が代りに片付けたりしてるものですよ。
ミドリさん
えー!信じられない!なんで許せるのー!??
ミドリさん
そんなんでいいの?
アゲアゲくん
そんなんでいいんですよ!
アゲアゲくん
理由はいくつかあります。
アゲアゲくん
「見た目だけ整えても仕方ないなぁ」と思ってるから。
アゲアゲくん
「いつか分かるでしょ」と思っているから。
アゲアゲくん
「遊びたいよね~」と共感してるから。
アゲアゲくん
理由様々ですが、ふかーく考えてないのですよ。いい加減じゃないよ。
ミドリさん
えー!私、ちっちゃい頃は激怒されたのにー!
ミドリさん
アゲ親の家では「子どもはご飯食べて、遊んでいるだけ」だったりするわけ?
アゲアゲくん
そうですね。
ミドリさん
ががーーん!私は片付けてたぞー!
ミドリさん
それって王様やワガママになったりしないの?心配だよ
アゲアゲくん
それが考えすぎなんですよ。ストップシンキングー!!なのです。
ミドリさん
うーむ。いわれてみれば・・・。
アゲアゲくん
むっふっふ。
ミドリさん
へ?
アゲアゲくん
ミドリさん、実は今朝、アゲ親出来てました。
ミドリさん
え!?どういうこと?
アゲアゲくん
今朝のアゲおっさんを思いだしてください。
ミドリさん
朝からビール飲んでた話?
アゲアゲくん
そうそう。
アゲアゲくん
僕もアゲおっさんもアゲアゲ界から来たアゲ者です!
ミドリさん
未確認生物よね。
アゲアゲくん
アゲ者の特徴はやりたいようにしかやらない!

アゲアゲくん
毎日が日曜日なのです!大いばり!
ミドリさん
そうね。威張るとこか?
アゲアゲくん
言い換えればね、アゲ者は子どもなのです。
ミドリさん
・・・。あー。確かに。
アゲアゲくん
でもアゲおっさんは「朝、子どもの前ではビール飲まない」って決まりを守りましたよね。
ミドリさん
うん。押し入れいったしね。
アゲアゲくん
あれって何でだと思います?
ミドリさん
「朝から飲むのはおかしい」って分かったからじゃないの?
アゲアゲくん
違いますよ。
アゲアゲくん
アゲおっさんはミドリさんのことが好きなのです。
ミドリさん
あら!なんか照れちゃう。
アゲアゲくん
あとね、子どもたちの事も好きになってるんです。
ミドリさん
それは嬉しいなぁ。 おっさんが可愛く思えてくる・・・
アゲアゲくん
好きだから、ミドリさんの言うこと聞いたんです。
アゲアゲくん
ミドリさんがお母さんとして頑張っているから。
アゲアゲくん
子どもたちへの真剣な想いを分かっているから。
アゲアゲくん
子どもたちにも健やかに育ってほしいから。
ミドリさん
あ、アゲおっさん・・・。怒ってゴメンね!
アゲアゲくん
アゲ者にとって理由なんて後付けです。
アゲアゲくん
僕だってミドリさんの言うこと聞くのはミドリさんが大好きだから、ですよ。
ミドリさん
て、照れるなぁ・・・。
アゲアゲくん
アゲ者はワガママきままです。
アゲアゲくん
でもね。好きになれば理屈抜きでやるんです。それが子どもとアゲ者。
ミドリさん
言うこと聞かすのが親じゃない?
アゲアゲくん
その通り!
アゲアゲくん
親とは、子どもの気持ちを満たしてやるものなのです。愛ですね。
ミドリさん
サゲ者は?
アゲアゲくん
頭脳で生きています。
アゲアゲくん
正しい理屈じゃないとやらないのです。
ミドリさん
 大人そのものね。
アゲアゲくん
そうですね。
ミドリさん
よく屁理屈言う子どもいるじゃない??
ミドリさん
その子は「頭で生きている」状態?
アゲアゲくん
そうですね。
ミドリさん
そっかー。私も子どものころから、頭働かせてたからなぁ。人のことは言えない。
アゲアゲくん
大丈夫ですよ。だいぶアゲアゲになっていますよ。
ミドリさん
じゃあ今日のゆーすけの話で言えば。
ミドリさん
私が片付けちゃってもいいわけ?
アゲアゲくん
いいですよ。

 

~翌日~

ミドリさん
うーむ、今日も無残に散らかってるなぁ。
ミドリさん
ほら、ゆーすけ片付けないと!
ゆうすけ
きゃっきゃ♪
ミドリさん
うーむ。怒ってまでやらせる必要ないのよね。
ミドリさん
ほら!一緒にやろう?
ゆうすけ
きゃっきゃ♪
ミドリさん
むー。てごわいな。
ミドリさん
・・・。
ミドリさん
仕方ない。今日は私がやったげますか。
ミドリさん
そのうち分かる日が来るよね・・・。
アゲアゲくん
どうでした?
ミドリさん
うーん、不安もあるけど「分かるはず!」って信じることにしたよ。
アゲアゲくん
その後どんな気持ちでした?
ミドリさん
いつもよりイライラしなかったね。
アゲアゲくん
それがアゲ親の感覚!
アゲアゲくん
その想いはゆうすけ君に伝わっていますよ!
ミドリさん
そういうものなのかなぁ。
アゲアゲくん
そういうものなのです!
ミドリさん
でも・・。
ミドリさん
「いつか分かるはず」そう思うとふっと力が抜けたよ。
アゲアゲくん
ちょっと気分上がったでしょ?
ミドリさん
上がったね。
アゲアゲくん
アゲ親なのです。
ミドリさん
あー!なるほど。

 

アゲ親とは

子育ては心でやるものです。

サゲ親(毒親)は頭で考えます。頭で考えると心は動かなくなります。

 

子どもがお片付けをしない。言いつけを守らない。

注意はしましょう。一緒にお片付けしてもOKです。

 

言えばいいんです。

そのあと「やる、やらない」は子どもの課題です。

やらなければ親が代行しても構いません。

大事なことはもっと別にあるのです。

 

最後にミドリさんが「気が楽になった」と言いました。

アゲ親とは、決してムリをしない。

サゲ親はあれこれ思惑を重ねます。

 

安心してもらいたいのですが「放っておいても子は育つ」というじゃないですか。

アゲ親は「放っておいても子どもは育つ」の感覚でいます。

そう思えば、気分上がっていくのです。

これがアゲ親の感覚です。